大人でも理解し、実践するのに時間がかかるドラッカーのマネジメント。今回のメルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、それを5か月で高校生たちが実践し能力として身に着けたエピソードを語っています。
高校生が感動したドラッカーの言葉
『致知』で好評連載中の「仕事と人生に生かすドラッカーの教え」。
ドラッカー学会共同代表理事の佐藤等氏が、毎号、ドラッカーの言葉を紐解き、貴重な示唆を与えてくださっています。
最新号からその一部をご紹介いたします。
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「伝承は衰退、伝統は革新の連続」、昨秋に開かれたドラッカー学会高山大会で紹介されたある職人の言葉です。
大会テーマは「文化を活かすマネジメント」でした。
「マネジメントが、それぞれの国に特有の文化を活かすことに成功しなければ、世界の発展は望みえない。
(中略)
これこそわれわれが日本から学ぶべきことである」
『マネジメント』
大会の最後のセッションに地元飛騨高山高校の生徒たちが部活における成果を発表しました。
大人でも尻込みするであろうドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読み、街に出て商店や企業を訪問し、文化という継続性の中に革新の種を探す試みです。
ドラッカーのキーコンセプトである「イノベーション」「機会」「知覚」「予期せぬ成功」など、おそらく人生で初めて自分の口から発する言葉を道具として使う経験です。
「子供だろうと大人だろうと、反復練習すなわち知識の体系的な反復が不可欠である。しかる後に意味を理解しなければならない」
『断絶の時代』
彼ら彼女たちは、何度も同じ言葉を使いヒアリングを繰り返し、実践をとおして言葉の意味を理解し、一つの能力としていったのです。
本を読んで理解したつもりになる大人の悪癖を深く反省させられる場面でした。
大会会場は清冽な波で洗われるような感動に包まれました。
この成果は、わずか5か月で起きたことです。
人生で必ず活かせる経験をしたという生徒の言葉に真の教育の姿を見た思いでした。
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