日本製鉄の米企業買収計画をトランプが「阻止する」と明言。早くも高まる日米関係の懸念

2024.03.04
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11月に行われるアメリカ合衆国大統領選挙の共和党候補となることが濃厚とされるトランプ前大統領。バイデン大統領の支持率の低迷もあり、「もしトラ」から「ほぼトラ」に変化しつつあるとも言われますが、トランプ氏が再登板となった場合、日本はどのような状況に置かれることになるのでしょうか。安全保障や危機管理に詳しいアッズーリさんは今回、第2次トランプ政権の発足が日本にもたらしかねない「トランプリスク」を解説。対日経済圧力の強化も否定できないとして、我が国の経済界や企業に事前検討を呼びかけています。

「頼みの安倍」も今はいない。日本がトランプ再選で直面する強大リスク

11月5日の米大統領選に向け、米国内の動きが活発になってきた。しかし、余程の事がない限りバイデンVSトランプの戦いになるので、我々はトランプ再選のシナリオを想定しておく必要があろう。

共和党の候補者選びはトランプ一強モードで、オハイオ州やニューハンプシャー州、サウスカロライナ州などに続き、最近もミシガン州での選挙戦で圧勝し、これで6連勝となった。3月5日には共和党使命レースの山場となるスーパーチューズデーを迎えるが、アラスカ州やアラバマ州、カリフォルニア州やマサチューセッツ州など全米15州で一斉に選挙戦が行われ、ここでトランプ氏が全勝もしくは圧勝すれば、もう勝負は決まったと言えよう。共和党はもうトランプ党のような様相を呈している。

第1次政権時より「やりたい放題状態」となるトランプ

仮に来年1月にトランプ政権が再発足することになれば、中国との間で再び貿易摩擦が激しくなることは間違いない。第1次政権時、トランプ氏は中国との貿易不均衡(中国に対して米国が大きくマイナス)に強い不満を持ち、中国製品に対して次々に追加関税を課していき、中国はそれに対して報復関税を行うなど、米中間では貿易摩擦が激化していった。

バイデン大統領も中国・新疆ウイグル自治区における人権侵害、中国による先端半導体の軍事転用防止などを理由に、中国への輸出入規制を強化したが、それは第2次トランプ政権にも継承される。トランプ氏は、最近も中国からの輸入品に対して一律60%の関税を課すと言及しており、第2次政権でも中国に対する輸出入規制や関税制裁を行っていくことが予想される。

しかも、懸念されるのは第2次政権では第1次政権よりも貿易摩擦が激しくなる恐れがある。これはトランプ氏だけに言えることではないが、通常、米国の大統領は2期8年を意識し、1期目は再選を考え慎重に政権運営を担っていくことになるが、2期目は後のことを気にする必要がない。要は、トランプ氏にとって残りの任期は4年しかないので、第2次政権では自分のやりたいことを一期目以上に思う存分やっていく可能性がある。

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