不安に感じたら引き下がれ。食品工場長が小林製薬「紅麹」問題を“他山の石”として学んだこと

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小林製薬の「紅麹」問題が連日メディアを賑わせています。こうした問題を製造メーカーの現場の人たちはどう受け止めているのでしょうか? メルマガ『食品工場の工場長の仕事』の著者である河岸宏和さんは今回、この問題から「工場長として学んだこと」を語っています。

小林製薬「紅こうじ」サプリメント問題から学ぶ事

2024年の3月に大きな問題が報道されています。

小林製薬が販売している紅こうじを使用したサプリメントを使用していた方の体調不良などが発生しているとされています。

直接的な原因は、不明とされていますが、小林製薬に体調不良の問い合わせの連絡が来てから、公表、市場回収までの時間が、非常に長期間になってしまっています。

食品を扱っている私たちは、小林製薬の対応から、「他山の石」として何を学ぶべきか考えてみたいと思います。

プレゼントと思う事

お客様からの問い合わせ、クレーム等は、無ければいいと思いがちですが、多くのお客様の中で、企業に対して、電話、メール等で問い合わせを行うことは非常に勇気がいり、手数のかかる物です。手数をかけた問い合わせに対して、表面上の回答をするだけでなく、きちんと精査することが大切なのです。

お客様の声に対して、事前に作成している回答集の対応をするだけでなく、声に対して、製造LOTを確認し、生産方法、生産要員、生産設備、生産に使用した原料などを、製造記録から確認し、標準的な生産時点と変化がなかったかの確認が必要になるのです。

もし、小林製薬で、声が入った時点で、精査を行っていれば、ある時点の製造LOT以降で、声が増えて来て、使用している原料のLOTが特定されていたはずです。

この、いつもと違うことに、気がつく事が大切なのです。

特に、人の命、大切な健康に関する物を取り扱っている私たちは、「大丈夫だろう」と考えるのでは無く、「不安」に感じたら、引き下がる勇気が必要なのです。

特定の製造LOTに対して、複数の声があった時に、原因などが不明でも、引き下がる必要があったのです。

あなたの工場では、お客様の声が遭った時に、4M、Man(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)に関して、通常と異なった事が無かったか、製造記録を確認し問題が無いことを、常に確認していますか。

特定の製造LOTで複数の声が聞こえて来たときの対応を考えていますか。

お客様の声を関係者で共有していますか。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 河岸宏和(食品安全教育研究所 代表) 【発行周期】 ほぼ 週末刊

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