インバウンドもすっかり回復し、多くの外国人観光客が「殺到」していると言っても過言ではない日本列島。しかし残念なことに、多くの場所でオーバーツーリズムが問題となっていることも事実です。「観光公害」とも呼ばれるこのような事例は、なぜ日本で頻発するのでしょうか。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』ではジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、その理由を考察。考えうる3つの要因を具体的に挙げています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:日本のオーバーツーリズム問題
性善説では解決しない。訪日観光客のオーバーツーリズムが問題となる3つの“日本的”要因
皆さんおはようございます。メルマガ主催の宇田川敬介です。
今年も様々な内容にして、少し違う観点から様々な内容を見てみたいと思います。
普段のブログとは全く関係なく、少し柔らかい内容で見てみたり、国民の慣習のことなどを見てみたいと思っております。
これからもよろしくお付き合いください。
今回は「日本のオーバーツーリズム問題」ということで、先日山梨県富士河口湖町で、コンビニエンスストアの上に富士山が重なる写真が撮れるということで、多くの外国人客が殺到し車の通行が妨げられたり、または、私有地に入ってごみなどを捨てるなどの事が起き、地元の人々が非常に迷惑するなどの事が発生したのです。
本来であれば警察などが出て交通整理をするなどのことになるのですが、そのような事にもならず、結局は「黒い幕で富士山を隠す」ということを決断するということになったのです。
この黒い幕はゴールデンウィーク前に始まり5月20日頃に出来上がるということですが、これに関しては海外から「残念」「何故そんなことをするのだ」というような声が上がっているということになります。
しかし、オーバーツーリズム事例はたくさんあります。
例えば、映画スラムダンクの部隊である江ノ島電鉄の踏切に観光客が殺到し危険が生じるということなどもありました。
ではなぜこのようなことが起きたのかを見てみましょう。
ひとつは、地方公共団体や行政の「観光課」は、そのほとんどが「観光地を自分たちで設定する事」「観光地を業者や旅行会社と組んで整備する事」そして「広報する事」をしています。
逆に言えば「観光地を設定し、その内容を広報して、観光客を集める事」しかしていません。
つまり「観光客を数か所に集め、そこに業者なども集中させて、そこで制御させる」ということであり、観光課自身に、町中にあふれ出した観光客を制御するノウハウを持っていないということになります。
しかし、日本の官僚の悪癖である「事なかれ主義」「先例主義」という二つの事が、それ以外の事を全く行わないということになってしまっているのです。
この事によって、「SNSやアニメの舞台になった場所に集中した観光客に対処する」ということができないのです。
これがそもそもの問題の第一歩です。
要するに、SNSやアニメ作品などをチェックして、自分の自治体において観光客が集中するということを事前に把握するということができません。
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