遅すぎたGoTo停止。無意味な「勝負の3週間」が招くニッポン崩壊

tsuda20201221
 

急速な支持率低下を受けGoToトラベルキャンペーンを一時停止とした菅首相ですが、新型コロナウイルスの新規感染者数は増加の一途を辿っています。もはやこの状況に歯止めをかけることは不可能なのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、コロナ対策特別措置法で罰則規定を設けてでも早期の感染拡大防止を行う必要性を強調。さらに自民党に対し、明らかに誤っているコロナ対策を取る菅首相の解任を要求しています。

【関連】今さらGoTo一時停止。産経すら苦言を呈した「国民軽視」菅首相の宰相失格

コロナ感染爆発は必至か?

前回のコラム(「今さらGoTo一時停止。産経すら苦言を呈した『国民軽視』菅首相の宰相失格」)で感染爆発になる可能性があるとしたが、心配したように、東京の新規感染者数は増大して、医療崩壊の危険水位になってきた。それを検討する。

菅首相は12月14日、観光需要喚起策「GoToトラベル」事業を12月28日~2021年1月11日まで全国一斉に停止すると決めた。新型コロナウイルスの感染者が急増し、共同通信社調査(5~6日)の支持率は前月比12.7P減の50.3%、不支持率が同13.6P増の32.8%と内閣支持率が急落したことで転換を迫られたようだ。共同通信の調査が一番信頼性が高いので、官邸は焦ったはずである。

しかし、GoToトラベル一時停止の決定が遅いし、28日までの間に感染拡大してしまうことになる。GoToトラベル中止前に使おうと、旅行に出かけ感染拡大を促進した形になっている。菅政権は、感染拡大の緊急性を理解していない。

その上に、5人以上での飲食を自粛と宣言しながら、8人という大勢でステーキ会食したことで、国民世論が沸騰している。自民党内の岸田前政調会長や田村厚労相からも「自らの行動をしっかり考えていかなければいけない」と批判された。

そして、東京は17日、過去最高の822人の新規感染者が出て、全国では3,211人もの新規感染者が出ている。死亡者も1日で38人、重傷者は全国で605人となっている。18日も東京で664人の新規感染者と、全国で48人の死者、609人の重症者になった。19日も東京で736人の新規感染者となっている。

それと、広島市は18日、直近1週間の10万人当たりのコロナ新規感染者数が20政令指定都市の中で最多の38.9人になり、医師会は「大規模災害に匹敵する緊急事態」とし、市民に不要不急の外出を控えるよう訴えた。

同様に、東京でも重症者数が多く、東京の医療警戒度を最高レベルに引き上げた。相当に医療機関のひっ迫感が強い状態になっている。入院を70歳以上で基礎疾患がある人と条件を引き上げている。

しかし、それでも東京アラートとは言うが、行動規制を小池都知事は求めないので、東京の感染爆発は不可避になっているように見える。なぜなら、繁華街の人出は減らないし、だれも行動自粛をしていない。

国民が専門家の見識に耳を傾け、自らの意思で自粛して危機を乗り越えるスタイルはすでに限界と思える。

このままであると、心配した緊急事態再宣言になる可能性が高いようだ。知事も首相も、経済と命の二兎を追いかけるので、どうしても感染が拡大してしまうことになる。

世界的に見ても、感染拡大したドイツも行動規制の強化となっているし、お隣韓国も行動規制強化とPCR検査の拡大をしている。英国はロックダウンを再度発出している。

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