なぜ、世界で戦争が起きるとファッションにも変化が起きるのか?

Moscow, Russia - March 2022: T-shirts with letters Z and V, baseball caps with inscription Russia in a souvenir shop. Signs of Russian special military operation in Ukraine, tourist giftsMoscow, Russia - March 2022: T-shirts with letters Z and V, baseball caps with inscription Russia in a souvenir shop. Signs of Russian special military operation in Ukraine, tourist gifts
 

未だに終わる様子を見せないロシアによるウクライナ侵攻。そんな時代を反映するように、ファッションの世界にも変化が起きているようです。今回のメルマガ『j-fashion journal』では、著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、「戦争とファッション」について語っています。

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ファッションは時代を映す鏡

1.戦争とファッション

ロシアは戦車に「Z」と大書してウクライナに侵攻していった。この頃、ロシアでは「Z」プリントTシャツが販売されていた。さすがに「Z」はロシア国内だけに留まったようだ。

昔なら、「Z」に×を付けたTシャツを身につけて、ロシアに抗議する人も出てきたと思う。しかし、SNSの影響でファッションによる自己主張は難しくなってしまった。どこで撮影されて、炎上コメントと共に晒されるかわからないからだ。

戦争が近づくと「アーミー・ファッション」が流行すると言われている。確かに、ここ7~8年は、「MA-1」や「アーミー」がトレンドとして紹介されることが多い。不景気になって、浮かれた気分が消え、人々の気持ちが荒んでくると、喧嘩や暴力事件が増えてくる。そんな気分にはアーミーが良く似合うのだろう。

そもそも戦争は大不況や大恐慌が引き金になることも多い。不景気になると、暗い色が流行ると言われている。好景気になると、自己主張が強くなり、派手な色が増えるのだ。

2.反グローバル主義のファッション

グローバリズムでは地球は一つと考える。国境なんて必要ない。世界中どこにでも行けるし、どこにでも住める。こうした考えは、国や地域の独自性を否定し、何でも世界標準にすることが正しいと考えている。

ファッションも同様だ。グローバルトレンドに従い、世界共通のファッションを、グローバルサプライチェーンで大量生産し、世界中の店舗で販売するのがファストファッションだ。

日本では、80年代から90年代半ばまでは国内ブランドが人気だった。日本独自のローカルファッションが支持されていたのだ。しかし、90年代半ばから、ラグジュアリーブランドと中国生産の激安ファッションに二極化し、国内ブランドは淘汰されてしまった。

反グローバリズムでは、世界は一つではなく、世界は多様な国や地域の集合体と考える。そして、小さな経済圏で自立したビジネスを展開することが持続可能性を高めることにつながるのだ。

次々とコストの低い国に生産地を移転していくビジネスは、持続可能とはいえない。また、低価格志向は常に安い労働力を求め、結果的に貧富の格差を拡大するので、これも持続可能とはいえない。

本気で持続可能性を追求するなら、無駄のない国内生産が望ましい。安価な商品を大量生産大量消費することは、大量廃棄、資源の無駄遣いにもつながっているのだ。

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