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FUJI、2Qは減収増益 5G関連向け設備が引き続き堅調に推移し営業利益は前年同期比+1.6%

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2020年11月9日に行われた、株式会社FUJI2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

2021年3月期第2四半期決算説明会

曽我信之氏:こんにちは。株式会社FUJIの曽我でございます。みなさま方には日頃より大変お世話になっておりまして、誠にありがとうございます。それではただ今より、今年度上半期の業績並びに今後の方針などにつきましてご説明させていただきたいと存じますが、何分にも現在のコロナ禍の状況でございますので、Web配信にてお届けさせていただきたいと存じます。大変拙いご説明になるかと存じますが、どうぞ最後までお付き合いくださいますようよろしくお願い申し上げます。

それでは、今年度上半期決算の概要並びに通期の業績予想、そして成長戦略、その他についてご説明します。まず上半期の決算概要からお伝えします。 

決算のポイント

決算のポイントですが、まずロボットソリューション事業については、とりわけ中国、アジア向けのスマートフォンおよび5G関連向け設備が引き続き堅調に推移したことに加え、ノートパソコン、タブレット端末向け、そして半導体関連向け設備の販売が伸長しました。一方で新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、欧米での設備投資需要は引き続き低迷しました。

マシンツール事業は昨年来、米中貿易摩擦の激化等により、市場が大きく停滞したことに加えて、新型コロナウイルス感染拡大により大変厳しい状況に見舞われました。

2021年3月期 第2四半期 業績

このような状況の中で、今年度上半期の業績は昨年の同時期に比較しまして、受注高が152億2,420万円減少して593億1,200万円、売上高は15億7,100万円の減収で706億5400万円でしたが、営業利益は114億1,200万円とわずかながらではありますが増益を確保しました。当期純利益はほぼ昨年同等の86億8,100万円となりました。

営業利益増減分析

前年同期と比較しました営業利益増減の要因をご説明します。ご覧のとおり、生産効率改善等による効果やその他経費削減等による増益部分と、販売数量の落ち込みと売価下落の影響による減益部分がほぼ拮抗し、結果としては1億8,200万円の増益となりました。

ロボットソリューション事業

次に、今年度上半期の業績を事業別にご説明します。まず、ロボットソリューション事業の中心は「NXT」、「AIMEX」、「sFAB」を始めとする電子部品実装ロボット、一昨年、吸収合併したファスフォードテクノロジのダイボンダ「DBシリーズ」、そして印刷機「GPX」などその周辺装置です。

それ以外の主な製品は、資料の下段の左側からご説明します。「SmartWing」は、軽作業を得意とする多関節ロボットです。その右側がプラズマ発生装置「Tough Plasma」は、表面改質によって樹脂などの接着力を高める効果があります。それ以外にも、医療に活用するための研究も進められています。

次が宅配ロッカーシステム「Quist」ですが、不在時の荷物の受け取りの問題の解消、また「配達する方と直接対面せずに受け取りたい」といったご希望にも沿うもので、現代の自由に沿った商品です。さらに不在による再配達がなくなることから、配達車両から出るCO2の削減、つまり環境問題にも適応します。

最後に介護ロボット「Hug」は、ベッドと車椅子、車椅子とトイレへの移動などを補助する役割があり、介護者と被介護者の双方ともに負担なくスムーズに行うことができることから、大変評判のよいものとなっています。また、リハビリにも活用されています。

ロボットソリューション事業 業績

ロボットソリューション事業の業績ですが、前期に比較すると受注は2割ほど減少しましたが、売上高と営業利益については増収増益を確保することができました。

ロボットソリューション事業 地域別売上高

地域的には、グラフにあるとおり中国の割合が増えました。欧米の低迷が顕著に表れた格好になっています。

ロボットソリューション事業 業種別売上高

お客さまを業種別で見てみると、スマートフォンを始めとする通信関連については、5Gなど将来をにらんだ設備投資需要に底堅いものがありました。加えて新型コロナウイルスの影響もあって、在宅勤務など時間と場所を有効に活用できる働き方、いわゆるテレワークの加速によりパソコン需要が伸びました。

ロボットソリューション事業 機種別売上高

商品構成に大きな変化はありませんが、得意とする高速装着機が若干増え6割近くに達しました。これは量産の多い中国市場の割合が増えたことによるものです。

マシンツール事業

マシンツール事業は、自動車産業向けがその中心です。主力機種「TN」「TNW」などのTNシリーズ、「CSS」「CSD」などのCSシリーズ、「ANS」「ANW」などのANシリーズ、そして生産スペースを大幅に削減し、効率のよい生産が可能な世界初のモジュール型生産設備「DLFn」です。

マシンツール事業 業績

マシンツール事業の業績は、先ほどの決算のポイントでもご説明したとおりですが、受注環境が大変厳しい状況に陥り、前年同期に比較しても大幅な減収となりました。事業部間の人の移動による固定費の削減や諸経費の削減などに努めましたが、残念なことに結果的には営業損失を計上するに至りました。具体的な実績は資料のとおりです。

マシンツール事業 地域別売上高

地域別には、グラフでお示しのとおりです。

マシンツール事業 機種別売上高

資料は、保守用部品と改造、修理による売上が全体の売上のどれほどであるかというグラフです。通常、景気の落ち込みとともにその割合が若干増える傾向にありますが、昨年と今年はまさにその時期と言えます。

世界の経済成長率

次に、今年度の業績予想とその根拠を、マクロ経済の状況も踏まえてご説明します。グラフは、みなさま方はすでにご承知のとおり、IMFが10月に発表した世界経済成長率予測です。ここにお示しのとおり、リーマンショック時をはるかに超える大変厳しい状況です。現在は、中国とその他アジアの国々が世界経済をけん引するようなかたちですが、いずれにしても欧米のコロナ禍の拡大や米中経済摩擦の行方が不透明な中で、我が国を含め欧米も回復へのしっかりとした足取りが見えない状況です。

各国・地域の製造業PMI(景況指数)

次に実際に将来の生産に向けて、物の調達を担っている製造業の購買担当者はどう見ているかという指数、PMIです。景気判断は多くの国と地域で4月から5月を底に上昇に転じており、明るい兆しです。

連結業績予想

このような経済予測の中で、当社事業の業績予想についてご説明します。大変見通しのしづらい環境下ではありますが、可能な限りの情報の収集や分析を行い、ここにお示ししましたとおりの予想数字とします。昨年度に比較しまして、減収減益予想ではありますが、今後とも目まぐるしく変化するであろう経済や社会情勢の中で、一層の業績の向上を図るべく鋭意努力する所存です。

セグメント受注・売上予想

受注、売上予想をセグメント別にお伝えします。資料にあるRS事業とはロボットソリューション事業、MT事業はマシンツール事業、つまり工作機械事業で、業績予想はご覧のとおりです。ここで少し説明を加えます。

RS事業の主力である電子部品実装ロボットの市場は、昨年度に比較しましてやや縮小すると予測しています。それは、欧米市場において設備投資需要の落ち込みが顕著で、急速な回復はないであろうということが第1の要因です。

ただ、中長期的には社会全体や生活のすべてにわたるデジタル化の波、いわゆるデジタルトランスフォーメーションはますます進展することは確かです。中でも、5Gにより通信環境は世界中で大きく変わり、そのための準備が待ったなしで急速に進む、つまり通信機器を始めとする電子機器全般に新しい需要が生まれつつあるわけです。ほかにも、車の電子化に向けての需要もさらに盛り上がってくるでしょう。また、新しい形態の電子部品の出現や、新しい搭載方式の要求により、設備需要が喚起されることも予想できます。

このような時代背景を踏まえ、これからもお客さまにご満足いただけるような商品作り、そしてサービスに努めるとともに新たな市場開拓にまい進する所存です。

次にMT事業ですが、先にお伝えしましたが、市場は米中貿易摩擦にコロナ禍が加わって、大変厳しい状況下にあります。底打ち感は出てきていますが、今年度中は本格回復には至らないであろうと推測されます。このような状況ではありますが、今後とも車の電動化など市場の変化への対応とともに徹底した業務の合理化や効率化を進めていきます。

1株当たり年間配当金・配当性向

配当については、従来どおり安定配当に努めるという方針に変わりはありません。予定していました1株当たり中間期15円、年間を通じて30円、これを1株当たり中間期20円とし、年間を通じては40円の配当予定に変更します。

ロボットソリューション事業

次に成長戦略、その他についてご説明します。まず、ロボットソリューション事業における成長戦略の主なものを、枠内に記載しました。第1に表面実装、前後工程のラインナップ拡充を進めます。そして、お客さまのご意向に沿った当社独自のトータルソリューションの提案力を一層強化します。さらに仮想と現実の生産活動の一致、つまりデジタルツインを実現させます。またIoT、そしてM2M、つまり機器間の通信をきめ細かく行う「FUJI Smart Factory」を高いレベルで実現させたいと考えています。

次に多関節ロボットの拡充です。需要の拡大に伴い、お客さまにとってロボットが導入しやすい環境作りにも力を注いでいきます。また、「FPM-Trinity」による次世代表面実装を確立します。これは3Dプリンター、回路印刷、部品実装、この3つの機能を併せ持った装置で、1台で製造が完結する電子機器のミニファクトリーを提供します。

マシンツール事業

マシンツール事業においては、来年以降の工作機械市場の回復とマーケットの変化を見据え、市場性の高い新製品の開発、新市場や新規顧客の開拓を行っていきます。

次世代事業

次世代事業ですが、基本は資料の枠内に記載したとおりです。少し中身に触れますと、左から、先にご紹介した多関節ロボット「SmartWing」を活用した触覚デバイスによるハンドリングシステム、次が自動運転やスマートロッカーなどを視野に入れた物流の自動化ソリューションの開発、そして朝日インテックとの共同開発による「エコーガイドシステム」は、手術室での医療行為を補助する、いわゆる医療支援ロボットの開発です。

左側中段の「e-Sys」は、主に産業用ロボットを扱うシステムインテグレーターの方々が、自動化設備をWeb環境でデジタル設計し、シミュレーションするためのプラットフォームになります。また一昨年、連結会社になりましたファスフォードテクノロジとの間では、高速で高精度技術、画像処理技術、精度測定技術などにおいて双方向のシナジーが生まれており、新技術かつ新製品開発に向けて大いに役立っています。

SDGsへの取り組み①

大事なSDGsへの取り組みです。当社は事業活動を通じて、その実現に貢献していく所存です。中身に少し触れますと、ご覧のとおりですが環境への取り組みや平等な社会の実現、そしてガバナンスへの取り組み、また働き方改革と健康推進、技術革新を通じた社会発展への貢献、そして地域との共生、教育です。

SDGsへの取り組み②

その1つに「teracoya THANK」と名付けられた“えいご”をつかって“かがく”を学ぶイングリッシュアフタースクールがあります。新型コロナウイルスの影響で一時中断していましたが、みなさま方のご協力とご理解により7月から再開しています。小学生を中心に300名ほどの塾生がいらっしゃいますが、授業が終わったあともお子さまたちが自習したり、遊んだりする空間が用意されているので、働いていらっしゃる親御さまから大変ご好評をいただいています。

企業価値向上に向けて

当社には部門横断で取り組む「企業価値向上委員会」があり、その下で現在ご覧の14の部会が活動しています。「もっとよい会社になるために、こんなことをしたらどうだろう」と提案を自由に出してもらい、提案者自身が部会のリーダーとなって活動していく仕組みです。大変活発に活動しており、成果をあげています。

コーポレートガバナンス・コード

当社は今後ともESG、すなわち環境、社会、ガバナンスの面に一層力を注いでいきます。当然のことですが、コーポレートガバナンス・コードについてもしっかりと踏まえ、より一層の企業価値の向上に努めていきます。

デジタル化の進展を含め、大変変化の激しい時代ではありますが、時代を捉え、お客さまに驚きと感動をお届けするような商品、そしてサービスを提供するとともに、すべてのステークホルダーの方々にご満足いただけるよう努力を続ける所存です。

最後までお付き合いくださいまして、誠にありがとうございました。これからも役職員一同、みなさま方のご期待にお応えできますように業務にまい進する所存でございます。今後ともみなさま方の温かいご支援、ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。本日は本当にありがとうございました。

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