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日本ユニシス、収益性改善による粗利の増加に加え、販管費の減少により上期は減収も営業増益に

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2020年11月6日に行われた、株式会社2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

2021年3月期 上期 連結経営成績

平岡昭良氏:みなさん、こんにちは。日本ユニシスの平岡です。本日は2021年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただきましてありがとうございます。

まず、資料の2ページをご覧ください。はじめに、2021年3月期上期の決算概要についてご説明します。上期の業績は、売上高は前年同期比52億円減収の1,446億円、営業利益は前年同期比5億円増益の116億円、四半期純利益は前年同期比4億円減益の76億円となりました。

売上高は、アウトソーシングが伸長したものの、製品販売やシステムサービスの減少により52億円の減収となりました。

利益面では、収益性の高いデジタルトランスフォーメーション案件の増加や、これまで取り組んできた収益性改善施策の効果等もあり、減収ながらも売上総利益は3億円の増益となりました。

販管費についても、新規事業創出に向けた研究開発費が増加した一方で、コロナ禍による移動の抑制で旅費などの一般経費が減少し、前年同期を2億円下回る水準となったことから、営業利益は前年同期に比べ5億円の増益となりました。

その結果、営業利益率は前年同期比0.6ポイント向上の8パーセントとなり、通期目標として目指している水準で着地しています。なお、四半期純利益に関しては、受取配当金の減少や税負担の増加等から4億円の減益となっています。

受注高については、コロナ禍の影響により、一部業種のお客さまにおいて引き続き投資抑制の姿勢が見られるものの、第2四半期において金融機関向けに長期の大型アウトソーシング案件を複数受注したことから、前年同期比34億円の増加となりました。

受注残高についても同様の要因により、前年同期比で127億円増加しており、第2四半期末における受注残高のうち年度内の売上計上予定分についても、ほぼ前年同期並みの水準まで回復しています。

2021年3月期 上期 セグメント別の状況

資料の3ページをご覧ください。セグメント別の状況についてご説明いたします。
システムサービスは、デジタルトランスフォーメーション関連の案件が着実に積み上がっているものの、事業環境が厳しい業種のお客さまにおける投資抑制や、ICTコア領域の中小型案件の先送りなどにより減収減益となりました。

なお、第2四半期においては新たな不採算案件の発生はなく、第1四半期に引き当て計上した不採算案件については来期の本番稼働に向け予定どおり進捗しています。

サポートサービスは減収となりましたが、サポート拠点の統廃合などのコスト構造改革の効果により増益となっています。アウトソーシングは、「BankVision」の11行目が稼働したほか、金融機関における勘定系サービスや、幅広い業種におけるITアウトソーシングの中小型案件が積み上がってきていることから増収増益となりました。

製品販売は、当第2四半期において、小売業向けのデジタルトランスフォーメーション案件や、GIGAスクール案件の計上があったものの、前年同期においてもPCやタブレット等の小型機器の需要が旺盛だったことや、前年第1四半期にAI関連の大型機器販売案件の計上があったこと等の影響により減収となりました。

一方で、前年の大型機器販売案件については低マージンであったことから、案件ミックスの影響により売上総利益は若干増加しています。

2021年3月期 注力領域の状況

資料の4ページをご覧ください。中期経営計画における注力領域のビジネス状況をご説明いたします。

第1四半期において営業活動が滞ったことで、受注のタイミングがスリップした影響から、ICTコア領域は大幅な減収となりましたが、注力領域についてはデジタルトランスフォーメーション関連の案件が堅調に推移しており、第2四半期においてはGIGAスクール案件も伸長したことから、前年同期比92億円増加の288億円となりました。

なお、上期の手数料型ビジネスにおける売上高は、前年同期比で若干の増加となっています。コロナ禍の影響で、インバウンドやカーシェアリング関連のビジネスは低調な状況が続いていますが、ドライブレコーダー、エネルギーマネジメント関連などのサービスが着実に拡大していることに加え、昨年度は減少トレンドにあったバリューカードビジネスが巣ごもり需要等の影響もあり、若干の増加傾向となっています。

注力領域の具体的なビジネスの進捗状況と、下期に向けた取り組みにつきましては、後ほどあらためてご説明いたします。

2021年3月期 通期業績予想

資料の5ページをご覧ください。通期の業績予想についてご説明いたします。
通期の売上高、営業利益、当期純利益予想につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は限定的なものになるとの想定のもと、8月6日に公表しています通期の業績予想を据え置きいたします。

足元においては、ICTコア領域の中小型案件も徐々に回復の兆しが出てきているほか、上期から引き続きデジタルトランスフォーメーション関連を中心に、お客さまのIT投資意欲は高い状況が継続するものと見込んでいます。

従いまして、下期においては中小型案件やデジタルトランスフォーメーション関連案件を中心に、受注から売上計上までのリードタイムが短いビジネスの受注獲得を予定しており、パイプラインも豊富であることから、売上高は3,200億円を据え置くことといたしました。

また、下期においては、製品販売の増加によりマージン率の低下が想定されることから、営業利益、当期純利益の見通しについても据え置きとしています。

中期経営計画(Foresight in sight 2020 )の方針

次に、資料の7ページをご覧ください。中期経営計画「Foresight in sight 2020」の取り組み状況についてご説明させていただきます。

日本ユニシスグループは、2019年3月期からスタートした中期経営計画において、「業種・業態の垣根を超えたビジネスエコシステムを創る中核となり、社会課題を解決していくこと」をテーマとして、事業活動を推進しています。

今中計期間も残すところ半年となりましたが、今年度期初よりコロナ禍が世界経済、そして日本経済に大きな影響を与え、前期までの増収増益基調から大きな戦略の転換を迫られました。

第1四半期は新型コロナウイルス感染拡大防止を最優先としながら、当社グループはもとより、お客さまの事業継続とテレワークの浸透を後押しするための無償提供など、社会貢献に取り組んでまいりました。

第2四半期においては引き続き感染拡大防止に努めるとともに、経済活動を再開させ、オンラインと対面のハイブリッドな事業活動を推進し受注の回復を目指してまいりました。

上期までの主な取り組み①

資料の8ページをご覧ください。上期の業績は、ICTコア領域にて製品販売や中小型案件の投資抑制、先送りなどの影響を受けた一方で、注力領域は大きく伸長し、前年同期比46.9パーセント増となりました。

第1四半期に増して、デジタルトランスフォーメーション関連のお客さまの投資意欲は高く、引き合いの強い状況が続いており、注力領域の目標値に対して、前年同期を上回るスピードで進捗しています。

これまで取り組んできている、金融の顧客接点強化、小売の電子棚札など、リアル店舗での業務改革やコロナ情勢により加速した働き方改革ソリューションの導入、教育現場のオンライン化などのデジタルトランスフォーメーション領域が伸長し、注力領域が成長しました。

また、手数料型ビジネスについては、インバウンド関連やカーシェアリングはコロナ禍による影響が続いていますが、QR・バーコード決済は国際系決済取扱高の減収分を国内決済系がカバーをし、前年同期並みの水準となっています。

デジタルコードの取扱高も好調で、デジタルマネー・クーポンの利用が浸透してきています。ドライブレコーダーやエネルギーマネジメント、収納サービスの拡大やコロナ禍の巣ごもり消費の影響によるバリューカードの持ち直しが、手数料型ビジネスの売上の拡大に寄与しています。

上期までの主な取り組み②

資料の9ページをご覧ください。
前ページでご説明した注力領域について、具体的な取り組みを紹介いたします。ご紹介のとおり、さまざまな分野で注力領域が活況となっていますが、コロナ禍の影響により移動が制限され、さまざまな業界においてオンラインへの切り替えが増えてきている中、リアル店舗の業務もデジタル化が進んでいます。

金融機関や小売業界などで、事務負荷軽減による接客時間の創出、接客強化を狙ったデジタルトランスフォーメーション案件などが積み上がり、注力領域は大きく伸長しています。

中でもIoTの1つである電子棚札は、大手量販店への導入を順次進めています。価格や棚札デザインをセンター処理で即時反映が可能となり、季節商品の入れ替えなどで生じる変更作業にかかっていた作業時間の大幅な削減に貢献しています。また、センターからリアルタイムに価格を変更することによる競争力の強化も実現しています。

下期に向けた活動 ~目標達成に向けて~①

資料の10ページをご覧ください。第2四半期は、社会全体が新型コロナウイルス感染拡大防止と経済活動の両立を模索している中で、受注高、受注残高ともに第1四半期から大きく改善し、上期の受注高は前年同期比2.5パーセント増の1,417億円、受注残高は前年同期比5.9パーセント増の2,278億円となりました。

前年同期以上の積み上がりを達成することができ、コロナ禍の中でも今後の成長余力となる案件の確保ができています。
また、年度内売上予定の受注残高においても、前年同期並みに持ち直しています。

今後の見通しとしまして、投資抑制の影響が続くことが見込まれますが、受注から売上計上までのリードタイムが短い物販、ソフトウェア等のビジネスにより受注を積み上げ、売上の拡大を目指してまいります。

また、注力領域においては、小売業界やGIGAスクールなどのデジタルトランスフォーメーション案件は堅調な状況が続くと見込んでおり、下期の売上拡大とともに、次年度以降の成長につながる案件のさらなる獲得を目指してまいります。

下期に向けた活動 ~目標達成に向けて~②

次に資料の11ページをご覧ください。続いて、下期の受注を支えている分野についてご紹介させていただきます。

小売業界は、日々の暮らしに必要不可欠な業種であり、私たちの日々の生活はそこで働く人たちによって支えられています。コロナ禍において、「エッセンシャルワーカーに対してどう向き合うか」が問われており、当社グループは小売業界向けのデジタルトランスフォーメーションを通じてこの領域に取り組んでいます。

先ほどお話しした電子棚札も店舗デジタルトランスフォーメーションの1つですが、AIによる自動発注やロボティクスの取り組みについてご紹介いたします。

需要予測に基づくAI自動発注サービス「AI-Order-Foresight」では、販売実績や気象情報などの各種データから適切な発注数を自動決定することで、経験やスキルに依存しない店舗運営を実現し、機械ロス・廃棄ロス削減に貢献しています。

また、閉店後の店舗での棚卸しや、売価チェックを行う自動走行ロボットの導入も店舗運営の省人化に寄与しています。今後も、小売業のマーチャンダイジングプロセスを包括的に実現する基幹システムのみならず、AI・IoT等の最新技術を活用したICTソリューションを着実に展開し拡大させてまいります。

サステナビリティの取り組み

資料の12ページをご覧ください。当社グループのサステナビリティに関する、上期の代表的な取り組みについてご説明します。

日常の買い物を通じて社会貢献に参画できる、ソーシャルアクションプラットフォーム「BE+CAUS」の提供を開始しました。社会課題解決への意識の高まりの中、小売各社が手を取り合い、さまざまなステークホルダーを巻き込み、社会課題解決に取り組むSDGsの大きなムーブメントを作っていきたいと考えています。

また、食品ロス削減への取り組みとして、先ほどご紹介したAIによる需要予測と発注業務の自動化を支援するクラウド型自動発注サービス「AI-Order-Foresight」の提供を開始しています。小売業界の労働力不足解消と、サプライチェーンの過剰在庫を削減し、食品廃棄ロスによる環境問題の解決に貢献してまいります。

さらにCO2削減、気候変動対策として、これまで取り組みを続けている、非化石証書をはじめとする環境価値取引の普及、拡大に加え、当社グループの「環境長期ビジョン2050」を策定し、RE100に加盟いたしました。これにより、2050年までにサーキュラーエコノミー社会の実現を目指してまいります。

このように、当社グループでは事業を通じて、さまざまなステークホルダーとともに社会課題を解決し、将来にわたり持続可能な社会作りへの貢献と、当社グループの持続的成長を目指して、今後もサステナビリティ経営を推進してまいります。

ご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。

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