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朝日印刷:医薬品包材の安定供給を支える包装インフラ企業、PBR0.5倍台かつ配当利回り4%超え

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朝日印刷<3951>は、医薬品・化粧品向けパッケージを中核とする包装ソリューション企業である。2025年3月期の売上構成比は印刷包材事業が91.6%、包装システム販売事業が7.2%、人材派遣事業が1.2%、主力はあくまで医薬品・化粧品向けの印刷包材である。一方で、包材単体の供給にとどまらず、包装機械やその前後工程を含めた包装ライン全体を提案できる。包装資材提供に加えて包装機械等による包装工程の自動化、ライン化まで含めたトータルサービスを提供できる稀有な企業となる。医薬品・化粧品向け印刷包材国内シェア1位で、医薬品市場向け印刷包材で国内シェア38.1%、化粧品市場向けでも27.5%のトップシェア。また、得意先が分散していてトップ顧客でも売上の3%程度にとどまる。そのほか、2014年にシンガポールに初の海外子会社を設立後、2019年および2023年にはマレーシアで印刷会社を子会社化し、ASEANを中心に製造・販売体制を強化している。グローバル市場で活躍できる人材の育成も並行し、海外事業を積極的に展開している。

同社の強みは、第一に医薬品包材に求められる品質保証と安定供給体制にある。医薬品包材・化粧品包材は新規参入が難しい領域で、医薬品包材は薬機法やGMP省令に準拠した製造に加えて医薬品の供給をストップさせない体制、化粧品包材は高加飾で意匠性に優れた包装物を、高い再現性で提供する体制が必要である。こうした体制を支えるのは、長年にわたり培ってきた専門知識や技術となっている。第二に全国20拠点の販売網を活かした地域密着営業となる。また、製造拠点の分散により有事の際の安定供給が可能で、グループ会社の製造拠点も活かした業界トップの製造キャパシティを保有、同業他社には無い国内生産網を構築している。第三に包材と包装システムを一体で提案できるワンストップ性にある。言わずもがな、設計・デザインから製造・包装機械までを自社グループで提供できる企業は少なく、競争優位性につながっている。

業績面では、2026年3月期第3四半期累計の売上高は327.65億円(前年同期比0.9%増)、営業利益は11.85億円(同25.4%減)で着地した。包装システム販売事業が包装機械の提案に加え、前工程・後工程も含めたトータル提案が奏功し大型案件の受注が増加、同事業の好調により増収となった。一方で、印刷包材事業で原材料価格の高騰や物価高の影響、海外において印刷包材事業の受注が減少したことなどが利益面に響いた。地域別では国内が横ばいながら、原材料価格上昇、賃上げ、工場再編に伴う減価償却費増加が重しとなり、海外においては、前期好調だった中国向け受注の反動減となった。。足元の減益は需要失速というより、海外ミックス悪化とコスト要因が重なった面が大きいようだ。通期の会社計画は売上高450億円(前期比2.4%増)、営業利益22.50億円(同8.4%増)、を見込む。売上は概ね想定通りに推移している一方、収益進捗は想定を下回る水準にあるとしつつ、第3四半期を底に第4四半期以降の改善を見込んでいる。

市場環境では、医療用医薬品の国内市場は11兆円を突破、ジェネリック医薬品の市場規模は2023年には2018年対比で30%拡大しており、老齢化の進展、感染症対応関連製品含めて堅調に推移している。同社の見立てでは、医薬品使用量は、老齢人口増加、GE普及促進、薬の品目増加により当面の間安定的に推移すると想定している。また、化粧品市場も高齢化に伴うエイジングケア製品の需要増加、若い世代での男性用コスメの市場拡大、越境ECの拡充など、直近での市場環境は安定的に推移し、今後も拡大する見込みとなる。

同社は中期経営計画 「AX2024」を策定しており、2025年3月期に売上高420億円、営業利益率7.0%を掲げていた。計画最終年度の昨期(2025年3月期)は売上高目標を達成した一方で、収益性に課題が残っているため、今年度は、AX2024の完遂と次期中期経営計画の土台作りを推進する1年とする方針を示している。原材料価格の高騰をはじめとする事業環境の急激な変化に対応して収益体制の再構築を推進する方向で、包装システム販売事業の拡大、ラベル事業の拡大、海外事業の加速・拡大、印刷包材事業の構造改革を実行していく。特に包装システム販売は、省人化ニーズの高まりを背景に第二の柱へ育てる意向が明確であり、ラベル事業についても他事業と比較しシェアが低く拡大の余地が大きい。さらに海外では、マレーシアの新工場を26年度稼働予定とし、2032年度売上を2024年度比75%増とする構想を示している。包装システム、ラベル、ASEANへと成長ドライバーを広げ、主力事業は構造改革で利益率を改善する。

株主還元は安定的な配当の継続と業績に応じた成果の配分として、連結配当性向40%以上を基本方針としている。2026年3月期の年間配当は38円を予定している。2025年3月期の配当性向は47.4%、総還元性向は53.0%で、加えて2025年度から2026年度の2年間で約10億円、発行済株式総数の約5%に相当する自己株取得方針も示しており、2026年3月期の総還元性向は70%程度を見込む。PBR0.5倍台で推移するなか、今後の株主還元や資本政策には期待したい。

朝日印刷は、富山の印刷会社ではなく、医薬品の安定供給を裏側から支える包装インフラ企業である。PBR0.5倍台かつ配当り利回り4%超えで推移するなか、医薬品・化粧品のパッケージングを主力として事業の安定性は高く、ディフェンシブ性の高い銘柄としての株価の見直しは大きそうだ。

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