■サムスン電子ショックで週央にかけAI・半導体関連株売られる
今週の日経平均は今週末比1186.34円安(-1.7%)の68557.73円で取引を終了した。週初は買い先行となったが、70000円台乗せ後はAI・半導体関連中心に利益確定の動きが強まり伸び悩んだ。その後、週央にかけては連日で1400円台の大幅下落となる。想定を上回る好業績(速報値)を発表した韓国サムスン電子が売り優勢となったことで、AI・半導体株の過熱警戒感が一段と強まることとなった。また、イランがホルムズ海峡で商船にミサイル攻撃を行い、米国もイランに報復攻撃を実施、中東情勢への警戒感再燃も警戒材料視された。上場投資信託(ETF)分配金捻出のための換金売りも需給面での重しになったとみられる。
一方、週後半にかけては下げ渋る動きとなっている。米国半導体株高を受けて、AI・半導体関連に押し目買いの動きが優勢となり、指数を押し上げる展開となった。中国政府が限定的に国内のAI企業に対し半導体購入を認める方針を示したと伝わったほか、中東情勢への警戒感再燃があらためてAI・半導体関連一極集中への動きを想定させたとみられる。週末は、片山財務相が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をはじめとする年金基金に日本の金融資産へさらなる投資をしてもらう方策を検討したいとの考えを示したことも注目されたようだ。
■片山財務相発言を受けた海外投資家の動向に注目
今週末の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比149.60ドル高の52637.01ドル、ナスダックは同74.72ポイント高の26281.611で取引を終了した。225ナイト・セッションは日中終値比550円高の69360円。トランプ大統領が対イラン和平協議継続で合意したことを明らかにし買いが先行、原油相場が下落し、一部ハイテク株の上昇も支援となった。
片山財務相発言を受けて、10日の東京市場では株高、債券高、円高の動きが強まった。GPIFのポートフォリオにおける国内株式や国内債券のウェイト引き上げが連想させる形になった。実現性は不透明であるが、来週以降の海外投資家の動向がまずは注目されることになろう。中でも、骨太の方針の原案が足元の長期金利の上昇につながり、来週には骨太の方針の正式発表に伴う警戒感も想定されていた状況下、過度な金利高に対する懸念は後退することになりそうだ。株式市場にとっても短期的には海外投資家の先回り買いなどが強まる公算もあるが、日経平均株価にとってはAI・半導体関連の行方がより重要となりそうだ。週末もキオクシア<285A>などはマイナス圏にまで急速に伸び悩んでおり、引き続き過熱警戒感は払拭しきれない状況とみられる。中東情勢が改善を見せた場合、AI関連株からの資金シフトの動きは再燃する可能性が高いと考える。
AI・半導体関連のイベントとして、来週は15日にASMLの決算発表、16日にTSMCの決算発表、14日の「SoftBank World 2026」における孫正義氏の特別講演などが挙げられる。とりわけ、半導体決算に関しては、来週のサムスン電子の動きからも極めてハードルが高い印象を受ける。過熱感を意識させるイベントとなりそうな雰囲気だ。ほか、中東情勢が再緊迫化した場合、米国の早期利上げ懸念が再燃する余地も大きいだろうが、来週には6月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)が発表されるほか、ウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長が下院、上院の委員会でそれぞれ証言を行う予定。ダウンサイドのリスク材料として警戒したい。
■安川電機は減益決算で時間外下落
今週末の引け後に安川電機<6506>が決算を発表、時間外取引では売りが優勢。第1四半期営業利益は市場予想を大幅に下回り、想定外の2ケタ減益となっている。受注高は順調に拡大し利益の下振れほどインパクトは強まらないだろうが、上方修正の可能性なども指摘されていたため、他のFA関連銘柄やハイテク株などには逆風となりそうだ。
今週は国内で3-5月期の決算発表が多かったが、後半のAI・半導体関連株高の地合いの中で、ファーストリテ<9983>やキユーピー<2809>など極めてポジティブな反応が限られた銘柄が多くなった印象。再度資金シフトが強まった際は、見直し余地が広がる銘柄も多くなろう。なお、今週でETF分配金捻出のための売り需要は一巡したとみられ、需給は改善していこう。
■米国のCPIやFRB議長の委員会証言など注目
来週にかけて、国内では15日に5月機械受注、5月第三次産業活動指数が発表される。なお、週内にも経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の発表が見込まれる。
海外では、13日に米・6月財政収支、14日に中・6月貿易収支、米・5月対米証券投資、6月消費者物価指数、15日に中・4-6月期GDP、6月小売売上高、6月工業生産、6月都市部固定資産投資、欧・5月ユーロ圏鉱工業生産、米・6月生産者物価指数、7月NY連銀製造業景気指数、ベージュブック、16日に欧・5月ユーロ圏貿易収支、米・6月中古住宅販売成約指数、6月小売売上高、7月NY連銀ビジネスリーダーズサーベイ、7月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、7月住宅市場指数、新規失業保険申請件数、17日に米・6月輸出入物価指数、6月住宅着工件数・建設許可件数、6月鉱工業生産・設備稼働率、7月ミシガン大学消費者マインド指数などが発表される。なお、14日と15日にはウォーシュFRB議長の委員会証言が予定されている。
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