配当株には感情的リターンがある?
人間には「感情」がある。投資家も然りだ。インデックス投資の弱点は、成績ではなく、「手応え」がまったくないことかもしれない。
たとえば、【VTI】や【VOO】、あるいは全世界株のインデックスファンドを積み立てていても、日々起きることは口座の評価額が上下する「だけ」である。1年経っても2年経っても、投資家の手元には1円も入ってこない。
増えているのはあくまで画面上の数字であり、その数字は売却するまで使えない。
遠い未来には大きな報酬が待っているのだからこれはこれで最適解なのだが、その遠い将来というのは10年も20年も30年も先である。それまでは手に入るものは何もない。画面上の評価額の増減だけだ。
遠い遠い未来まで手取りの報酬がゼロという状態に耐えられる人間は多くないのではないか。ダイエットや語学学習が続かないのとまったく同じ理由で、こうした投資もある日ぱったりと止まるのは、まさに「何も手に入らないから」でもある。
しかも悪いことに、評価額というものは、上がっているときには実感を生まないくせに、下がったときだけ強烈な痛みを生む。
つまりインデックス投資家は、喜びが小さく痛みが大きいという不利な条件のもとで、20年間走り続けることを求められている。理論が正しくても、途中で精神的に耐えられなくなったら終わりである。投資は挫折する。
おまけに、出口戦略も簡単ではない。取り崩し戦略として知られる「4%ルール」は、退職時点の資産の4%を初年度に引き出し、以後は物価上昇に合わせて調整しながら取り崩していく方法である。
たしかに計算上は成立する。だが実際に始めてみれば、それは毎年自分の資産を売って減らしていく作業にほかならない。30年かけて増やす訓練を積んできた人間が、ある日を境に減らす行為へ頭を切り替えられるかというと、これがきわめて難しい。
インデックス投資を投げ出す人が続出するのは無理もないと私は思っている。だから、私は「配当株」を保有している。
Next: 「成長エンジン」と「配当エンジン」