<グッズ会社から総合IP企業へ>
もう一つの重要な戦略が、収益化手段の多層化です。
キャラクターグッズの販売だけでなく、YouTubeアニメ、映画、ゲーム、テーマパークなどへ展開し、1つのIPから生み出す価値を広げようとしています。
複数のキャラクターを育て、複数の媒体でファンとの接点を持つことができれば、特定キャラクターや特定商品カテゴリーのブームが終わっても、会社全体では成長を続けられる可能性があります。
サンリオが掲げる「安定・永続成長サイクル」とは、個々のキャラクターの人気には波があっても、IPポートフォリオ全体として成長する仕組みをつくることにほかなりません。
2024年5月にこの方針を鮮明にした中期経営計画が公表されて以降、株価は大きく上昇しました。
投資家が評価したのは、単なる足元の好業績ではなく、長年の課題だった業績の変動性を克服できるかもしれないという期待です。
海外成長は最大の期待であり最大のリスク
今後の成長を考えるうえで、とりわけ重要なのが海外市場です。
日本ではサンリオの知名度が高く、長年のファンもいます。
一方、中国や米国では近年になって人気が急速に立ち上がっており、成長余地が大きい半面、ブームが短期間で終わるリスクもあります。
中国では、サンリオショップが1年間で31店舗から56店舗へ増加しました。
店舗が増えれば売上高が伸びるのは当然ですが、出店増による成長と、既存店やファン基盤の本質的な成長は分けて考える必要があります。
急拡大した業態がブームの終息とともに縮小する例は珍しくありません。
米国でもYouTube、映画、ゲームなどを通じてブームを持続的なファン基盤へ変えようとしています。
こうした施策によって一過性の人気を乗り越えられるかが、サンリオの企業価値を左右するでしょう。
投資家が確認したい5つのポイント
サンリオが構造的な成長企業へ変わったかどうかを、単一の数字だけで判断することは困難です。
決算資料に明確なKPIとして表れる頃には、機関投資家が先回りし、株価へ織り込まれている可能性があります。
長期投資家は、数字になる前の変化にも目を向ける必要があります。
- キャラクター別売上の分散:ハローキティ以外のキャラクターが一時的ではなく継続的に売上へ貢献しているか。
- 海外人気の持続性:中国・米国で既存店売上やライセンス収入が伸び、出店効果を除いても成長しているか。
- ファンの粘着性:毎年違うキャラクターが注目され、複数のIPにファン層が広がっているか。子どもだけでなく、購買力のある大人のファンを維持できているか。
- マネタイズの多層化:グッズ以外の映像、ゲーム、テーマパーク、ライセンスなどの収益が拡大しているか。
- 競合IPとの差別化:ポケモンをはじめとする国内外の強力なIPと比べ、サンリオ独自の世界観やファン体験が支持され続けているか。
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