本稿で取り上げるのは大林組<1802>です。株価は20%急騰し、配当金も3倍になっています。しかしながら、ゼネコン業界全体の苦しい状況もあり、売上の増加に対して営業利益はもたついています。投資してもよいのでしょうか?(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
大林組はゼネコン業界のNo.2の企業である
大林組はいわゆるゼネコン業界に属している企業です。
ゼネコンとは、ゼネラル・コントラクターの略称であり、その事業の内容は「工事を請け負い、竣工までの管理をする仕事」と言われます。
より簡単に言えば、国や企業から工事の案件を受注し、下請け企業も活用しながら、建物を作る仕事を行う業界、と言えるでしょう。
大林組は鹿島建設に次いで、業界第2位の売上規模を誇ります。
出典:各社決算短信より作成
具体的に、大林組はどのようなビジネスを行っているのでしょうか?
大林組では大きく「建設事業」と「土木事業」、「不動産事業」を行っています。
建設事業ではオフィスビル、商業施設、住宅、学校、病院など、人が使用するための建造物の設計、施工を行っています。
土木事業は、社会基盤や公共インフラの建設と維持に焦点を当てています。これには、道路、橋梁、ダム、トンネル、港湾、鉄道、空港など、公共の利益や経済活動を支える構造物の建設が含まれます。
そして不動産事業は、土地の有効活用を目的とした事業であり、建築事業や土木事業とは異なる側面があります。この事業は、土地の購入から、その土地上に商業施設、住宅、オフィスビルなどを建設し、それらを販売、賃貸、または運営するまでの一連のプロセスの中で利益を上げています。
工事だけではなく、自社でデベロッパー機能を有している、ということです。
しかし業績を見てみると、利益に関しては好調とは言えません。
出典:決算短信より作成
大林組の営業利益の状況が芳しくない理由を考えてみましょう。