■強い米雇用統計で158円台半ば、200日線に迫る
今週(11月2日-6日)は米中間選挙と米雇用統計という二大イベントを通過し、強い米労働指標を背景にドルが158円台半ばまで水準を切り上げる展開となった。週初2日は、トランプ米大統領が対イラン攻撃再開を急がない姿勢を示し、中東情勢の緊張緩和期待から原油価格と米長期金利の低下でドル売りが優勢となり157円63銭まで下落したが、NY時間に157円93銭まで戻した。3日は、米9月JOLTS求人件数が4カ月ぶりの高水準となり、年内の追加利上げ観測を背景とした長期金利の上昇でドル買いが優勢となって158円77銭まで上昇した。4日は、米中間選挙で民主党が圧勝したとの結果を受け、東京時間に157円台半ばまで下落したが、米10月ADP雇用統計の上振れや9月貿易赤字の縮小により158円67銭まで買い戻された。その後は米10月ISM非製造業景況指数が予想を下回り、さらに対イラン攻撃再開への警戒感が後退して原油価格が急落したことから米金利が低下し、158円16銭へ押し戻された。5日は、米新規失業保険申請件数が57年ぶりの低水準となり158円50銭まで上昇したが、AI関連投資の先行きや収益性への懸念に加え、民主党主導による規制強化への警戒からハイテク株を中心に株安が進みリスク回避の円買いが強まり、157円54銭まで下落した。週末6日は、日経平均株価が一時4300円超下落するなどアジア株が総崩れとなり上値の重い展開となったが、NY時間に発表された米10月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想の+6.5万人を大きく上回る+16.5万人、失業率も4.1%に低下し、FRBによる年内追加利上げ観測の強まりから158円58銭まで上昇した。その後は期待インフレの低下で158円00銭まで反落したものの、再び買われた。200日移動平均線(158円60銭前後)が上値抵抗として意識される一方、米雇用の底堅さが下値を支え、157円台後半から158円台後半での神経質な値動きとなった。
6日のニューヨーク外為市場でドル・円は158円58銭へ上昇後、158円00銭まで反落、再び上昇し158円50銭で引けた。
【来週の見通し】
■底堅いか、米雇用の強さと12月追加利上げ観測が下支え
ドル・円は底堅いか。米中間選挙で民主党が上下両院の多数派を獲得し、データセンター規制強化への警戒からハイテク株を中心とした株安で円買い先行。ただ、米雇用統計の強さを受けた連邦準備制度理事会(FRB)の12月利上げ観測からドルの下げは限定的となりそうだ。11月3日の米中間選挙で、民主党が上下両院で多数派を奪還し、データセンター建設への規制強化が警戒されやすい。ハイテク株を中心に売りが強まれば、リスク回避的な円買いが続く可能性がある。また、財政協議の停滞や財政赤字の拡大に対する懸念も、ドル売り材料となろう。トランプ政権内では中間選挙の敗因について、イランへの攻撃と一部で分析されている。米国のパートナーであるイスラエルの政治情勢も不安定化しており、中東の地政学リスクに対する懸念が一服、原油相場の値下がりもドル売り要因となりそうだ。10日と13日に発表予定の米10月消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)が注目される。加速すればドル買い材料となるものの、原油相場の先安観が広がればインフレ圧力の弱まりが見込まれ、過度なドル買いを抑制しよう。一方、6日発表の米10月雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を大幅に上回り、失業率も低下した。労働市場の底堅さを受けてFRBの12月追加利上げ観測が強まり、米金利の上昇を通じたドル買いが入りやすい。また、トランプ政権に対する議会の監視機能が強まり、金融政策に対する政治的圧力の弱まるとの期待もある。もっとも、ドル・円は全般的に下げづらいものの、「防衛ライン」とされる160円が視野に入れば、日本当局による為替介入への警戒が強まり、戻り局面では上値が重くなりそうだ。
【米・10月消費者物価指数(CPI)】(10日発表予定)
10日発表の米10月消費者物価指数は前月比+0.3%(9月+0.6%)、コア指数は同+0.2%(同+0.3%)と予想される。市場予想を上回る結果となり、インフレ圧力の継続が示されれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め観測からドル買い材料となる。
【米・10月生産者物価指数(PPI)】(13日発表予定)
13日発表の米10月生産者物価指数も注目材料。9月は前月比+1.3%と、8月の+0.5%から大幅に伸びが加速した。食品・エネルギーを除くコア指数も同+0.7%と加速しており、物価上昇圧力の強さが示された。10月も市場予想を上回る結果となれば、インフレ圧力の根強さが意識され、FRBの12月の追加利上げ観測からドル買いにつながる可能性がある。
予想レンジ:155円00銭-160円00銭
上値ポイント:159.5円、160.3円、164.0円、170.0円
下値ポイント:154.9円、151.9円、151.6円、149.2円、146.2円
【ドル買い要因】
・Fed3.75~4.00%据え置き・追加利上げ観測
・日本の財政悪化懸念
・中東緊張・原油高による米インフレ再燃警戒
・日米金利差を背景としたドル買い
【ドル売り要因】
・日銀1.25%へ利上げ・追加利上げ観測
・日米当局の為替介入警戒
・米国債務40兆ドル突破による財政悪化懸念
いま読まれてます
記事提供: 
元記事を読む