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【質疑応答】株式会社フツパー(478A) 新規上場記者会見

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株式会社フツパー(478A)のグロース上場を記念した記者会見が行われ、代表取締役兼CEOの大西洋氏が記者からの質問に答えました。

株式会社フツパー

会社概要
社名:株式会社フツパー
設立:2020年4月
事業内容:製造業向けAIサービスの提供(外観検査自動化AI「メキキバイト」、AI受託開発サービス「カスタム HutzperAI」、人材配置最適化システム「スキルパズル」等)

登壇者名

株式会社フツパー 代表取締役兼CEO 大西洋 氏

質疑応答:初値の受け止めについて

質問者:初値の受け止めについておうかがいします。公開価格を3割ほど上回る初値がつきましたが、どのように受け止めていらっしゃいますか?

大西洋氏(以下、大西):初値は1,344円でした。公開価格の1,020円に対して、およそ30パーセント上回る水準です。

IPOディスカウントが20パーセントであることを考慮すると、個人的には20パーセントから30パーセントが落ち着くラインだと考えていました。そのため、今回の結果は市場からの評価として、まずまずだと受け止めています。

質疑応答:今後のプロダクトラインナップ拡充について

質問者:今後の成長戦略として、プロダクトのラインナップを増やしていきたいとおっしゃっていましたが、具体的にどのようなプロダクトを出されるのでしょうか?

大西:「次にこれを出す」というところまで明確に開示しているわけではありませんが、スライド資料52ページで「オールインワン製造AIプラットフォーム」についてご説明しています。

現在は検査や人の配置などの領域で、個別のAIを自社でプロダクト化していますが、その周辺領域、例えば生産計画や予知保全、搬送周りを含め、まだまだお客さまの業務で人の思考に頼っている部分は大きいと考えています。

そのような部分は、中長期的にはすべて手がけていきたいです。どこから着手するかはニーズを見ながら判断しますが、そのような領域を狙っていこうと思っています。

質疑応答:採用戦略について

質問者:上場で調達した資金は、人材採用に充てていきたいとのことでした。エンジニアが非常に重要だというお話もありましたが、採用戦略についてお聞かせください。

大西:今後2年から3年の成長を見据えた時に、やはり人材採用は早めに行うほうがよいため、来年、再来年は特に、調達した資金を人件費に使っていきたいと考えています。

当社の人員構成は6割以上がエンジニアですので、エンジニアを採用できるかが、採用成功のポイントになります。我々はチームで開発を行っており、AIのデータサイエンティストだけを市場から採用しようとすると、外資系企業なども含めて競争が激しくなります。

しかし、ハードウェアのエンジニアや、Windowsのデスクトップアプリ開発、Web開発ができるソフトウェアエンジニアなどは、市場に開発経験のあるメンバーが比較的多くいます。そのため、そのような職種に関しては、今のところ順調に採用できています。まだ採用が難しくなるほどの規模感ではないと考えています。

質問者:逆に、データサイエンティストは今後もより資金を投じ、賃金を上げながら採用していきたいということでしょうか?

大西:ベースは当然上げていくというのが大前提です。採用方法の1つとしては、中途採用で入っていただくパターンがあります。また、社内の部署異動で、AIに関するスキルの高いメンバーが別のチームに行くケースもあります。

さらに、インターン生として活躍している学生が、そのまま入社してくれるケースも出てきています。当社は大阪に本社があるため、大阪大学などのメンバーも多いです。単に転職市場に出てから勝負するのではないところが、ポイントだと思っています。

質疑応答:今期の黒字化と今後の収益性について

質問者:2025年12月期は黒字に浮上する計画ですが、すでに確実に黒字が出るフェーズに入ったのでしょうか? それとも、まだ成長投資が必要であれば特に黒字にはこだわらないのでしょうか?

大西:2024年12月期までは赤字でしたが、最も赤字幅が大きかったのは2023年12月期です。当社は2022年12月期にシリーズAで4億2,000万円のエクイティ調達を行い、その翌年2023年12月期に1億円を超える赤字を計上しました。この時期が一番投資をした年になります。

2024年12月期には赤字幅がかなり縮小し、2025年12月期の黒字化によって過去の累計赤字もすべて回収している状況です。2026年12月期以降は利益創出のフェーズに入っていきたいと考えています。

当然、利益を出しながらトップラインは伸ばしていく必要がありますので、投資を行った場合、営業利益率が急激に上がることはないと思います。トップラインを上げ、利益を出すことに集中したいと考えており、再び赤字になることは考えていません。

質疑応答:大西CEOのイスラエルでの起業経験について

質問者:大西CEOはイスラエルでの起業経験をお持ちですが、今回の上場で役立ったことはありますか?

大西:社名の「フツパー」がヘブライ語であるという点くらいです。私の起業経験については、「起業失敗」という文言しか資料に記載していないと思いますが、まったく起業と呼べるほどの活動ではありませんでした。

この経験から粘り強いメンタリティだけを持ち帰り、今日に至るという次第です。

質疑応答:5年後、10年後のビジョンについて

質問者:5年後、10年後を見据えた時に、どのような企業になっていきたいか、どのように成長していきたいか、教えていただけますでしょうか?

大西:具体的な目標がないわけではありませんが、上場後に小粒なままでずっと続いてしまうよりは、大きく成長していきたいです。

例えば関西であれば、MonotaROのように上場後かなり大きくなっている会社があります。SHIFTやエムスリー、ZOZOなどもそうかもしれませんが、トップラインが伸びた結果、時価総額も伸びていくようなイメージです。

10年、20年かけて時価総額1,000億円や1兆円に達するような会社を、大阪から目指していきたいと考えています。

製造業という市場は、間違いなくそれに十分足る産業だと思います。あとは、当社が採用やサービス、M&Aなども含めて、どのようなスピードで成長させられるかがポイントだと考えています。

質疑応答:株主還元について

質問者:株主還元についてはどのようにお考えですか?

大西:グロース市場への上場であっても、市場の期待は時価総額を上げていくこと、当然ながら業績を伸ばしていくことがメインだと考えていますので、基本的には成長投資に資金を回していきたいです。株主配当の実施については未定です。

質疑応答:グローバル展開やM&Aについて

質問者:グローバル展開やM&Aについて、どのようにお考えでしょうか?

大西:最初の起業をいきなりイスラエルで行って失敗したくらいなので、私自身はもちろんグローバル展開したいという思いはあります。

日本で製造業向けのサービスを行う上で、大阪という場所がベストだと考えたので、現在は国内で事業を展開しています。しかし、お客さまの工場がある地域に合わせて展開していくことも考えています。日系企業のお客さまの国内展開が進んだ後は、自然な流れとして次は海外展開という話になるかと思います。

そうなると、やはり東南アジアなどが考えられます。日系企業の進出先ランキングでは中国、アメリカ、タイという順番ですが、地域的にハードルの低い東南アジアなどを中心に、まずは広げていきたいです。そこから、どんどんエリアも増やしていければと考えています。

M&Aについては、これまで実施した実績はありません。しかし、新しいプロダクトを作ろうとすれば、類似したサービスは既存であるはずです。シナジーのあるシステム会社など、ご一緒できそうなところがあれば検討していきたいという方針です。

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