■NSグループ<471A>の今後の見通し
2026年12月期業績は、営業収益が前期比10.9%増の33,069百万円、営業利益が同20.5%増の11,898百万円、調整後EBITDAは同4.8%増の13,779百万円、税引前利益が同21.5%増の11,379百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同24.9%増の7,900百万円の見通しである。
営業収益は、家賃債務保証における新規契約の増加と家賃水準の上昇により、引き続き拡大する見込みである。新規保証料(期間按分前)は前期比10.8%増の16,073百万円を計画しており、その内訳を見ると、件数成長率は同5.1%増、単価成長率は同5.7%増を見込む。住居用保証では、世帯数の増加や都市部の賃貸需要の底堅さを背景として契約数の拡大が続く見通しである。特に同社のシェアが相対的に低い大都市圏での営業強化により、契約件数の増加を図る。事業用保証では、店舗やオフィス向けの賃料保証需要が拡大しており、同社が成長分野と位置付ける事業用保証の伸びが収益拡大をけん引すると見られる。新規保証料の内訳は、住居用保証が同6.7%増の10,686百万円、事業用保証が同18.7%増の5,298百万円と、事業用保証の高い成長を見込んでいる。また、これまで積み上げてきた契約の更新に伴い、更新保証料も安定的な拡大が続く見通しである。
コスト面では、回収体制の強化と審査精度の向上により、引き続き貸倒関連費用の抑制を図る。同社は滞納債権を段階別に管理する体制を整備しており、高い回収率を維持することでリスクコストを安定させてきた。2026年12月期もこの体制を維持しながら貸倒関連費用の低減を進める計画である。併せて、社内の生産性向上に向けたIT投資を進め、AI技術の活用範囲を審査以外の業務にも広げることで業務効率の改善を図る。これにより業務品質の向上とコスト効率の改善の両立を目指す。
利益面では、収益の拡大に加え、貸倒関連費用の抑制や一時費用の減少が寄与し、営業利益は前期比20.5%増と高い成長を見込む。なお、2025年12月期には東証プライム市場への上場に伴う関連費用など1,449百万円の一時費用が発生しており、2026年12月期はこれらの費用が剥落することも利益押し上げ要因となる。利益ガイダンスはやや保守的な印象であり、計画どおり新規契約の拡大と貸倒関連費用の管理が進めば、一定の上振れ余地があると弊社では考えている。2026年12月期は株式上場後初の通期業績となることから、事業拡大と収益性の両立がどの程度進むか注目したい。
■中長期の成長戦略
2027年12月期は営業収益365億円、売上成長と収益性の両立を目指す
同社は、2025年11月12日に2027年12月期までの中期経営計画を公表し、家賃債務保証事業の拡大と収益構造の高度化を軸とする成長戦略を掲げている。主力である家賃債務保証事業の競争力を高めつつ、保証領域の拡張や不動産DX関連サービスの拡大も視野に入れ、業界トップのポジションをより強固にする方針である。
2027年12月期の定量目標として、営業収益365億円(2024年12月期から2027年12月期までの年平均成長率約12%)、調整後EBITDAマージン43.0%を掲げており、高い売上成長と収益性の両立を目指す。事業KPIとしては、新規契約件数38.5万件、新規保証料185億円を目標としている。内訳は、住居用保証が新規契約29.5万件、新規保証料115億円、事業用保証が新規契約3.5万件、新規保証料60億円であり、住居用、事業用の双方で契約数の拡大を図る。
成長の中核となるのは、既存の家賃債務保証事業の拡大である。住居用保証では、大都市圏での営業強化が主な施策となる。東京本社と大阪本社を軸とした営業体制を生かし、都市圏の中でもシェアが低いエリアや未開拓地域に人員を重点配置する。顧客の規模やエリアごとに営業戦略を細分化し、営業成果を本部と拠点で継続的に検証する体制も整える。営業生産性を高めながら取扱店の拡大を進めることで、契約件数の増加と市場シェアの向上をねらう。
一方で、事業用保証では店舗やオフィスなどの事業用賃貸市場の拡大を取り込みながら成長を加速させる方針である。住居用保証で培った営業ネットワークやノウハウを活用し、事業用賃貸を扱う不動産会社、デベロッパー、REITなどへの営業を強化する。商品面では企業ニーズに応じた柔軟な商品設計を行い、競合との差別化を図る。事業用保証は単価が高く収益性も高いため、この分野の拡大は収益成長に大きく寄与する可能性がある。
収益施策としては、家賃保証の利用者に対して付加価値サービスを提供し、クロスセルを進めることで、ARPU(1顧客当たり売上高)の引き上げにも注力する。既に家賃保証と駆けつけサービスを組み合わせた商品や多言語対応プランを提供しており、今後は火災保険とのバンドル商品やテナント向け開業支援サービスなどの拡充も検討している。保証サービスの利用を起点に関連サービスを広げることで、顧客当たり収益の増加を図る考えである。
このほか、収益性の改善につながる施策として、契約に占める集金代行の比率上昇による手数料収入の拡大を図るほか、督促・請求事務手数料の徴収によって滞納対応に伴うコストの回収を進める。加えて、審査機能の高度化やスコアリングの精緻化による与信管理の強化も進めている。業務面では審査プロセスの効率化や収納代行手数料の見直しなどにより、変動費の削減も図る。
なお、中期経営計画には織り込まれていない潜在的なアップサイドも複数存在する。独立系の中堅・中小地域保証会社の買収によるシェア拡大や、信販系家賃債務保証会社との提携による事業規模の拡大などはその一例である。AI審査の高度化による不採算取引の改善や、回収難易度の分析を活用した回収業務の効率化も収益改善に寄与する可能性がある。未開拓地域への出店が進めば売上成長に加え、競争緩和という面でも効果が期待される。コスト構造の見直しが進めば、利益率の改善余地も残されている。
営業強化、ARPU向上、各種収益施策の積み重ねが計画どおり進めば、中期経営計画の達成可能性は十分にあると考えられる。家賃債務保証事業を基盤としながら保証領域や不動産関連サービスの拡張を進めることで、中長期的な利益拡大と持続的な企業価値向上が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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