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VPJ Research Memo(7):2028年12月期に売上高2,330百万円、営業利益681百万円を目標に掲げる

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■中長期の成長戦略

1. 中期経営計画
ビジュアル・プロセッシング・ジャパン<334A>は、2026年3月に2028年12月期までの3ヶ年の中期経営計画を公表した。DAM及びPIM市場におけるリーディングカンパニーとして、中期的な成長戦略を通じた持続的な企業価値の向上を目指し、最終年度の2028年12月期に、売上高2,330百万円、営業利益681百万円、当期純利益470百万円を目標に掲げている。売上拡大とともに利益率の改善も伴う成長を見込んでいる。

成長の中核は、新規顧客の獲得による契約件数の拡大と、既存顧客へのクロスセル・アップセルによる契約ボリュームの拡大の2軸である。2028年12月期には、「CIERTO」の累計契約件数を575件(2025年12月期比295件増)、ARRは1,960百万円(同100.0%増)を計画しており、安定的なストック収益基盤の強化を図る。また、顧客単価は2026年以降に段階的な上昇を見込んでおり、提供価値の拡大が単価向上に寄与する構造となっている。

さらに、同社は資本効率の向上と株主価値の拡大を重視している。2028年12月期には、EPS(1株当たり当期純利益)を283.03円(2025年12月期比156.7%増)、ROE(自己資本利益率)を25.0%(同7.9ポイント上昇)を目標としている。いずれも大幅な伸長を見込むものであり、収益性の向上と資本効率の改善を通じて、投資家へのリターン最大化を志向する方針である。

契約件数と契約ボリュームの拡大を推進。APACへも進出

2. 成長戦略
同社は、中期経営計画の実現に向けて「「CIERTO」のSaaSビジネスの拡大」を成長戦略のスローガンに掲げ、営業戦略と製品戦略を両輪として推進する。営業面では市場リーチの最大化とグローバル展開の加速を図り、製品面では業界トップ水準の機能開発と収益性の向上を進める。主力製品「CIERTO」の競争優位性を背景に、海外市場においてもシェアの拡大と収益基盤の強化を両立する方針である。

(1) 営業戦略
1) 販売代理店ビジネスの強化
同社は販促・マーケティング分野で実績を有するパートナー企業との連携を通じ、新規契約件数の拡大・市場シェアの拡大を推進している。具体的には、NTTドコモビジネスX(株)、TOPPANホールディングス<7911>、富士フイルムビジネスイノベーションジャパン(株)など全国規模でDX提案を展開する企業と正規販売代理店契約を締結し、自社単独ではリーチが難しい顧客層へのアプローチを図っている。2026年12月期は共同での販売活動を進め、2027年12月期以降は正規販売代理店による単独での契約獲得を見込んでいる。また、国内CMS市場で高いシェアを持つCMS開発企業であるハートコア(株)やイントリックス(株)などの認定協業パートナーとの連携を通じ、「CIERTO」の販売、技術提供、サービス面での協業を推進している。

2) アライアンスパートナーの活用
同社はパートナー企業との連携を「点」から「面」へと拡大することで、ビジネススケールの拡大を推進している。具体的には、主要なEC構築プラットフォームやCMSベンダーとのAPI連携を拡充し、コンテンツ制作から配信までの一貫した環境構築とクロスセル機会の拡大を図っている。Amazonや楽天など主要モールへの商品情報連携に対応しているほか、WordPressやHeartCore CMS、Shopify、ec-being、GMOクラウドECなどとの双方向連携を実現している。また、Boxとの連携に加えGoogle Driveなど主要クラウドストレージとの連携強化を進め、外部ソリューションとの親和性向上による利便性の向上を図っている。今後も対応ベンダーの拡大を進めることで、Web制作やEC運営におけるビジネス接点の拡張を目指す。

3) APACへのビジネス展開
国際的な評価プラットフォームでの評価を背景として、アジア地域への展開を進める。同地域全域をカバーする有力代理店との提携交渉を進めており、2026年中の海外事業開始を見込んでいる。なお、カスタマーサクセス体制の確保を重視し、沖縄拠点からサポートが可能な時差の少ないアジア地域を中心とする方針であり、現時点では欧米への展開は想定していない。

(2) 製品戦略
1) 積極的なプロダクトアウトの継続
国内では、DAM及びPIMの市場認知度が依然として高いとは言えないが、同社は約30年にわたる経験に基づくプロダクトアウト型の製品開発を継続する方針である。自社の技術力とノウハウを起点に開発を進めることで、海外ベンダーや国内の類似製品との差別化を図る独自機能の実装と価格主導権の確保を両立している。本戦略により、ITのサイロ化による業務非効率を抱える潜在顧客に対して新たな解決策を提示し、市場の開拓を進めている。

2) クラウド環境の原価削減
同社では、クラウド環境の原価削減を重要施策と位置付け、利益率の向上を図っている。その中核となるのは、クラウド基盤標準である「ハイブリッドモデル」の構築である。同モデルは、テナントごとの個別管理により高いセキュリティを確保する一方で原価が高い「Silo(サイロ)型」と、リソース共有により効率的な一括管理が可能だが柔軟性に課題がある「Pool(プール)型」を組み合わせたものである。これにより、高いセキュリティ水準を維持しながら、原価最適化された効率的な運用基盤の実現を目指す。2026年12月期に新基盤の開発を進め、2027年12月期には5%、2028年12月期には10%の段階的な原価削減を見込んでおり、これを増益の大きな原動力とする考えである。

3) AIの活用と共存
AIの活用と共存をテーマに、企業のブランド信頼を守る「管理」とAIによる「制作・配信」の効率化を両立させるコンセプトを推進している。同社は「管理の8割」で信頼を維持する方針を掲げ、著作権・肖像権の管理、ログ監査、アクセス権制御、商品情報の一元管理など、企業が保有するデジタル資産のガバナンス機能を備えている。

一方で、「制作・配信の2割」をAIに開放し、API連携を通じてAIエージェントがコンテンツ制作や配信を担う環境を整備している。これにより、AIがSNS、Web、ECなど複数チャネルへコンテンツを自動生成・配信することで、販促活動の効率化と高度化を実現している。現状の具体的なAI機能としては、画像解析による類似画像検索やOCRリーダーによる文字情報の自動抽出、自然言語による対話型検索、音声認識を活用した字幕生成やテキスト生成などを実装している。さらに、AIエージェントとのAPI連携を強化することで、将来的にはAPI利用量に応じた従量課金モデルの導入を視野に入れており、収益機会の拡大につなげる方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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