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クイック Research Memo(7):人的資本投資や新サービスブランド「アンドプロ」を中心とした成長投資を加速

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■中長期の成長戦略

1. 中期計画
クイック<4318>の中期計画は3ヶ年計画であり、ローリング形式で毎期見直されている。現在の中期計画の最終年度である2029年3月期の連結業績目標は、売上高41,230百万円(2026年3月期比21.5%増)、営業利益4,610百万円(同0.6%増)、経常利益4,726百万円(同0.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,141百万円(同24.5%減)である。本中期計画は、前期に公表された中期計画から下方修正された内容となっている。これは、米国の通商政策に加え中東情勢の変化など、外部環境を踏まえ国内外の人材市場への影響を織り込んだことに加え、ここまでに記述した中長期的な成長を実現するための各投資戦略を反映したことによる。

2. 事業セグメント別の戦略
(1) 人材サービス事業
人材サービス事業は、引き続きグループの主力事業として位置付けられ、2029年3月期には売上高28,206百万円、営業利益3,730百万円を目指す。

人材紹介においては、新サービスブランド「アンドプロ」を今後の戦略の中核に据えて事業拡大を図る。具体的には、これまで各専門サイトへ分散投資されていた経営資源を旗艦サイト「アンドプロ」へ集中投資することで、資本効率の最適化、認知拡大、及び集客効率の向上を図る。同時に、各領域における運営サイトの改良やコンテンツの質・量両面での強化も継続し、既存の専門職・特定領域での深化・シェア拡大を図る。加えて、新たな専門職・特定領域を開拓し培ったノウハウを生かすという横展開の戦略を、これまで同様に積極的に推進する。また、人材面では採用活動を積極的に展開し、育成体系の充実を進めることで、若手社員を早期に実務で活躍できる戦力へ育て上げていく。

人材派遣・紹介予定派遣等の分野では、派遣先企業との単価協議を進めつつ、新規取引先の開拓を通じて収益性の維持・向上を図る。また、看護師紹介事業との連動強化や既存登録者層の再活性化を進めることで、登録者基盤の拡充にも取り組む。

(2) リクルーティング事業
リクルーティング事業は、2029年3月期に売上高4,987百万円、営業利益1,234百万円を目指す。

採用手法が一段と多様化する環境下において、同社はクライアントに対し上流段階から関与し、採用活動全体を支援するクライアントエージェント機能の拡張を進めていく。Indeedや求人ボックス等の採用支援サービスを核としつつ、採用戦略の策定サポート、選考プロセスの改善支援、新商材の開発など幅広いメニューを提示できる体制を整備し、特定サービスに依存しない総合的な提案力を高める。

(3) 地域情報サービス事業
地域情報サービス事業は、2029年3月期に売上高3,523百万円、営業利益558百万円を目指す。

利益率の高い人材紹介を中心としたコンサルティングサービスに今後さらに注力していく。また、各種イベントとの連携やSNS広告による販促支援や、求人分野におけるIndeed等のWeb媒体の販売拡大を進める。ポスティングサービスについては、Webによる受注システムの導入や自社サイトを活用した営業促進、さらに価格見直しも含めた収益性向上策を図る。加えて、スタッフの処遇向上や採用力の強化を図り、配布組織の安定確保と配布エリアの改善・拡張を計画的に進める。

(4) HRプラットフォーム事業
HRプラットフォーム事業は、2029年3月期に売上高1,285百万円、営業利益444百万円を目指す。

「日本の人事部」について、認知度を一段と高める取り組みとより充実したコンテンツ作りを進め、ユーザー数及び会員数の拡大をねらう。加えて、同サイトが展開するイベントを含む一連の関連サービス全体を、さらにユーザー同士のネットワーク醸成を可能にする基盤へと進化させ、競争優位性と顧客満足度の向上を図る。また、HR分野における新たな市場の開拓にも積極的に取り組む。

(5) 海外事業
海外事業は、2029年3月期に売上高3,228百万円、営業利益342百万円を目指す。

北中米地域では、米国における雇用の国内回帰を見据え、米国人求職者の登録拡大に重点を置く一方、メキシコにおいては既存顧客への深耕営業、新たな営業エリアの開拓、集客チャネルの多様化を進め、収益基盤の安定化を図る。欧州では、ITやフィンテック、エネルギーなど採用需要の伸長が期待される分野に照準を当て、営業活動の強化とともに拠点展開を見据えたネットワーク形成や市場調査を進める。アジアにおいては、採用難易度の高い日本人の採用支援に加え、現地人材紹介サービスの既存顧客への深耕と新規開拓を推進する。また、米国とメキシコ、英国とオランダなどグループ会社間の連携を強め、国際間の転職希望者を対象とした「クロスボーダーリクルートメント(R)」サービスの拡充にも注力する。さらに、政治経済の状況を見ながらではあるが欧米を中心に拠点展開も行っていく。

3. 中長期的な成長を実現するための投資
2026年5月、同社は「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を公表した。そのなかで同社は、過去4期のROEが20%を超えているものの、営業キャッシュ・フローと利益の蓄積により現預金・株主資本比率が上昇し、B/Sの効率性が課題であるとの現状分析を提示した。この課題に対し同社は、現預金の適正活用と資本効率の向上を実現するために、2027年3月期からの3年間で中長期的な成長を実現するための投資を加速し、同時に株主還元を強化する計画を掲げている。このうち投資については、従業員の待遇向上や従業員向けRS導入などの人的資本投資、看護師転職・就職支援領域の機能強化やAI等のシステム投資などの既存領域投資、人材紹介の旗艦サイト「アンドプロ」の立ち上げなどの新領域投資、さらにM&Aや出資などの戦略投資を推進する予定である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 西村 健)
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