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Windows 95を設計した伝説の日本人エンジニア・投資家の中島聡が見抜いた、テスラ「ロボタクシー先行投資」の勝算

Teslaが9月3日、テキサス州オースチンでCybercabによるロボタクシーサービスを開始しました。多くの人が期待した安価なModel 2ではなく、ハンドルもアクセルもない専用車両に社運を懸けたTeslaの狙いはどこにあるのでしょうか。(『週刊 Life is beautiful』2026年9月15日号より)。

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Tesla Cybercab なぜModel 2ではなくCybercabなのか

Teslaが9月3日にCybercabを活用したロボタクシーサービスをテキサス州オースチンでスタートしたことは既に報告しましたが、これに関して、少し頭の中を整理するために書いてみます。

Cybercabを理解する上で重要なのは、Teslaが、Model 2ではなく、Cybercabをリリースした理由です。

当時(2023年後半~2024年前半)、私も含めた多くの人は、市場で成功したModel 3/Yに続いて、Teslaは安価なModel 2の生産を開始するだろうと期待していました。既に燃費(電気代)とメンテナンスコストを加えれば十分にガソリン車に対抗できるところにまで来ていたので、$25,000を切る価格でModel 2をリリースすれば、EVシフトは一気に加速し、Teslaの自動車業界での地位は揺るぎないものになると期待されていたのです。

車体価格を安くするとそこから大きな利益を上げることは困難ですが、TeslaにはFSDサブスクリプションという他の自動車メーカーにはない強みがあるため、トータルでは高い粗利を上げることができます。

にも関わらず、TeslaはCybercabを発表し、市場を驚かせたし、一部の人たちは失望もしました。シェアの拡大と高い粗利が期待できるModel 2の代わりに、いつ現実のものになるのか分からないロボタクシービジネス向けに貴重な製造ラインを割り当てることには大きなリスクがあるように見えたのです。

私自身も、2年前までは「ロボタクシー・ビジネスが本格的に始まるのは2030年ごろ」と見ていました。それまでのFSDは、高度運転補助装置としては十分に機能していたものの、完全自動運転とは程遠かったからです。それもあって、ロボタクシー・ビジネスを売り上げ予想に含め始めたCathie Wood(ARK Invest)は楽観的過ぎると見ていました。

しかし、その後FSDは飛躍的な進化を遂げ、発表からわずか2年で商用サービスをスタートしたのです。

ハンドル・アクセル・ブレーキを持たないCybercabを公道で走らせるには、各自治体からの許可が必要なため、これが全米に広がるまでには紆余曲折があるでしょうが、そんなリスクを承知の上で、Cybercabの生産設備に莫大な投資をしたのもTeslaらしいアプローチです。

Unbox工法と塗装レスの外装

従来型の自動車は、全体的なフレームを組み立てた上で、そこに、椅子、ドア、窓、操作系の装置などを取り付けるのが普通ですが、Cybercabは、様々な部品を取り付けた大きなパーツを最後の段階で合体させる「Unbox工法」を採用することにより、複数の工程を並行して行うことを可能にしています。

さらに、自動車の製造過程で大きなコストを占める塗装工程を省くために、外装は、成型時に顔料を練り込んだポリウレタン製のパネルのみで構成されています。塗装をしないので塗装工場そのものが不要になるし、色がパネル全体に染み込んでいるため、小さな傷がついても下地が露出しないというメリットもあります。

多くの人たちが指摘していますが、Teslaは一台あたりの製造コストを下げるだけでなく、ロボタクシー・ビジネスをより安価に運営するための数多くの工夫をCybercabに施しています。そのため、一般の車両に自動運転機能を追加しただけのライバル(Waymoなど)と比べると、圧倒的に有利な条件でビジネスを運営することが可能になるのです。

サラリーマン経営者にはできない芸当

Waymoだけでなく、他の自動車メーカーにとって脅威となるのは、まだ立ち上がってもいないロボタクシー・ビジネスに最適化されたCybercabを大量生産する体制をTeslaだけが先行投資で作ってしまった点にあります。

自分が経営をしている間に大きな失敗をしないことを最優先にしているサラリーマン経営者には決してできない芸当で、この時点で、Teslaは既に他の自動車メーカーの3~4年先を走っていると言えるのです。

株価の乱高下はノイズ

TeslaのFSDは、(毎日FSDを使っている私から見て)人間が運転するよりも安全と言えるレベルに達していますが、人身事故を100%無くすことはできません。Cybercabが人身事故を起こすたびにメディアが大々的に報じ、訴訟もあるだろうし、その度に株価は乱高下します。

私は、「ロボタクシーが当たり前になる世界が来る」ことは強く確信しているし、そこでTeslaによる先行投資が実を結ぶと期待して株価を長期保有しているため、株価の短期的な乱高下はノイズだと思って無視しています。

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