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2022年4月の高校「投資教育」義務化で自己責任の社会が加速。退職金も年金も運用次第へ=遠藤功二

2022年4月から高校の授業で投資教育が義務化されます。やがては「投資する」こと自体も義務化される可能性があるでしょう。もし公的年金制度でiDeCoの存在感が高まり、投資することが義務になった場合には、投資の知識がある人とない人で年金額に雲泥の差が出てしまいます。つまり、貧富の差が「年金額」にまで及んでしまうということです。(『億の近道』遠藤功二)

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プロフィール:遠藤 功二(えんどう こうじ)
日本FP協会認定CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、MBA(経営学修士)。大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当したが、組織のしがらみで顧客中心のサービスが提供できず、雇われFPとして働くことに限界を感じる。しかし、収入が途絶えることの恐怖から簡単には、会社から踏み出すことができず、ストレスを貯める日々を送る。FP資格やMBAをとっても、会社にお金で縛られていたら何もできない。「お金のためだけに働くつまらない生き方を他の人たちにはさせたくない。」という志を持ち、お金が原因で不幸になる人を少しでも減らすべく、教育特化のFPとして奔走中。

投資教育スタートは何をもたらすか

2022年4月から、高校の授業で投資教育がスタートすることは、もう周知のことになってきたと思います。

私は、近い将来、投資は学ぶことだけでなく、やること自体も義務化されると思っています。その予感をさせる1つの動きが、確定拠出年金制度の進展です。

確定拠出年金制度は2001年にスタートした制度ですが、2016年に個人型にiDeCoという愛称が付けられ、2017年から公務員も加入可能になり、国民に広がり始めています。

実は、会社の退職金制度を企業型確定拠出年金(401k)に移行する企業は増えています。

退職金制度は撤廃され、企業型確定拠出年金の義務化が始まる?

以前は退職金といえば、終身雇用で働けば定年退職時に1,000万円~3,000万円程度の最後のボーナスが会社からプレゼントされる、というイメージの制度でした。

第2の人生を歩む戦友に、会社が軍資金を渡すような感じです。

退職金を確定拠出年金制度に変更した会社では、上記のようにプレゼント的に渡される退職金はありません。

会社は種銭は出してくれますが、社員は自分で運用して退職金を作ります。入社当時から退職時まで自分の退職金がいくらなのかを見ながら、会社員生活を送ります。

「私の退職金はいくらなんだろう、ワクワク」ということはないのです。

こういった会社では、入社当初から確定拠出年金の銘柄ラインナップが配られ、退職金の積立金(拠出金)で投資する銘柄を選びます。

入社と同時に投資が義務になっているということです。新入社員は60歳以降に受け取る退職金のことなので、何をやらされているのかピンとこない方も多いようです。

商品の選び方がさっぱりわからない方は、定期預金を選んでしまっているようです。

運よく外国株式ファンドを選んだ方は、資産が増えています。ただ、資産が増えていても何がなんだかわかっておらず、いつの間にか資産が増えていたという人が多いのも実情です。

民間の年金制度である「退職金制度」は、このように、自己責任で投資する時代に変わりつつあります。

国債利回りが下がった今、運用結果が読めないのに、予定利回りを提示しなければならない確定給付企業年金が、下火になるのは仕方がありません。

Next: 貧富の差が「年金額」にまで及んでしまう社会へ

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