しば漬けに秘められた哀しい物語。京都三大漬物の歴史を紐解く

 

すぐき漬け

千枚漬けやしば漬けほど知名度は高くないですが、これがあれば何杯でもご飯が食べられるというほど美味しいのがすぐき漬けです。すぐきはかぶの一種で、上賀茂の地で桃山時代に社家(しゃけ)と呼ばれる上賀茂神社に仕える氏族によって栽培されてきました。江戸時代、すぐき菜は門外不出の固有種として上賀茂で守られて栽培されていました。当時はまだ希少価値の高い高級贈答品としてわずかしか栽培しないものだったそうです。

すぐき漬けが一般に普及しはじめるのは明治以降になってからとのことです。すぐき漬けは、約300年の歴史を誇る、「御すぐき處京都なり田おんすぐきどころきょうとなりた)」が有名です。上賀茂神社の門前、土塀が続く社家町にそのお店はあります。

すぐき漬けは、各社家や農家の室(むろ)で加熱され、乳酸発酵させて作られます。すぐき漬けの中にはラブレ菌が含まれており、近年テレビなどでも取り上げられています。ガン細胞やウイルスの働きを抑制するインターフェロン生産促す効果があると話題になっています。これを期に国内外から注目を集め、最近では知名度が上がってきました。

すぐき漬けは、社家の庭で栽培したことから「屋敷菜」と呼ばれていました。また、御所に仕えた社家が宮中から種子を賜ったから「御所菜」とも呼ばれていたそうです。いずれの呼び名にせよ、大事に育てられ、高級な食材だったことが伺われます。

すぐきの「天秤漬け」(天秤を使って漬ける)は、昭和初期からの製法で、今でも上賀茂地区の季節の風物詩になっています。

京都に足繁く通う前は千枚漬けとしば漬けは知っていましたが、すぐき漬けは知りませんでした。今では毎回買って帰るほどすぐき漬けにハマってしまいました。ネット全国のデパ地下などでもお買い求め出来ると思いますので是非召し上がってみて下さい。これがあれば永遠にご飯が食べられます(笑)。

image by: Tang Yan Song / Shutterstock.com

 

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