ロシアの中東戦略は
もう1つが、中東での戦争であり、その戦争をプーチンが利用し始めた。現在のロシア経済は最悪である。欧米からの経済制裁により、ロシアからの輸出が制限され、かつロシアの欧州への逆制裁により生鮮食料品の値上げがきびしい。ルーブルの価値は落ち、石油や天然ガス価格は下落している。
このような時、国民は経済的な不満で政権を倒す行動に出るが、それをプーチン大統領は、ロシアの栄光を取り戻すとして、国民の愛国心を利用して乗り切るようである。このために、ロシアの偉大さを国民にアピールするために、東ウクライナが必要であったし、シリアが必要なのである。
これと同じ道をとったのが、ドイツのヒットラーであるが、国民は歓喜することを知っているようである。政権を保持するためには必要なこととして、プーチンは認識しているのであろう。国内政治のために海外に出ていく。しかし、この結果は悲惨であろうと思う。
この戦争で何を目的とするかの戦略がない。国民受けだけを狙っていることで、利害対立がある国際政治の真っ只中に出ていくには、あまりにも検討不足のような気がした。
案の定、トルコがシリア反政府勢力をサポートしているが、それへの空爆を敵対視していたが、この原因でロシア爆撃機を撃墜した。プーチンとしては、ロシアの栄光に傷が付いたことで、国民の反発を抑える必要があり、トルコの謝罪がないことで、トルコへの軍事的な報復を行う可能性がある。経済的な報復では、国民感情が納得しない。
プーチンは戦術家としては優秀であるが、戦略家としては失格であるとタルボット氏が言っていたが、まさにその通りになっている。