イノベーションをビジネスに展開する
昭和47年に試験管ベースで「色が変化する」ことを発見したとのこと。
名刺も、実際に触ったりして温めると体温で変化する。
次のステップで考えたのが商品化だが、ここでもやはり顧客視点、ユーザー目線で商品開発をされている。
それまでのペンの定義は「記憶を残す道具だった」とのことだが、商品化に当たって、「考える道具」というコンセプトとして定義して、ペンという形にしたとのこと。
ある意味で大きな「パラダイムシフト」だと言っても過言ではない。
ペンについた「付加価値」のために、価格を自身で設定できたため、利益率も上がることになる。
イノベーションは「価格競争から脱却できる」ことを示す好例である。
市場と技術がマッチして初めてヒットにつながる
この、技術を生かした製品をヒットに結びつけるには、市場にもニーズが無ければならない。
しかし、消費者がすでに知っている「顕在的なニーズ」では、ヒットには結びつかない。
消費者は自分が知っているものを欲しいとは思わないのだ。
「今は知らないけれど、教えてもらったら嬉しい」という「潜在的なニーズ」を掘り起こせるかどうかが、先行者利益につながる、ヒット商品になる。
マッキーの「1本に細字と太字」が両方あるペンが、サインペンのカテゴリーを凌駕したように、自社独自の技術が消費者ニーズとマッチし、市場の期待を超えた場合に初めてヒットにつながるのだ。
イノベーションは確かに多額な設備投資をともなう技術革新だけを指すわけではない。
この事例から学べることは、
- 真摯に自社プロダクトを愛し向き合う
- 固定観念を捨てる
- 顧客からスタートする
ことで、新しい価値を生み出すことにある。