NHK大河ドラマ『真田丸』を放送直後にワンポイント解説する人気連載シリーズ。今回は「慶長の役」について。秀吉は朝鮮制圧を目指し、2度目の挑戦を試みますが、この時の秀吉にはもう海を渡り、戦場で指揮を執る体力は残されていませんでした。日本軍が苦戦を強いられた理由は他にもあるようです。さっそく見ていきましょう!
今回のワンポイント解説(7月31日)
今回、ドラマで描かれたのは、絶対的権力者として君臨してきた秀吉の黄昏。そして、ドラマでは簡単に触れられただけだったが、背後では歴史的に重要なできごとが進行していた。
その一つは、朝鮮への再出兵、つまりは慶長の役である。日本軍はふたたび大挙して朝鮮半島へと渡り、各地で激戦が展開した。しかし、今度は朝鮮側の抵抗も激しく、日本軍は全体としては苦戦気味であった。文禄の役の時のように内陸深くへ侵攻することはできず、沿岸部に築いた倭城を確保するのが次第に精一杯となっていった。
この戦いで日本軍がふるわなかった原因は、僕は次の2点に求められると思う。まず、日本軍の地域制圧のやり方。熾烈な国内統一戦で鍛えあげられた日本軍は、たしかに実戦経験も豊富で 精強ではあったが、その容赦のない地域制圧の仕方は、戦争経験のない朝鮮の人々に目には、異常に残虐なものと映った。これにより、占領地支配がうまくいかなくなった。
ただ、やはり最大の問題は、秀吉本人が現地指揮をとらなかったことに尽きるだろう。ドラマの描写はさておき、この時期の秀吉に渡海して戦場にのぞむ体力がなかったのは、まちがいない。しかし、山崎の合戦・賤ヶ岳の合戦・山中城攻防戦を見てくるとわかるように、秀吉の最大の強さは、勝敗を分ける場所とタイミングを瞬時に見抜いて、主力を一気に叩きつける思い切りの良さだ。
その、最大の強みを失った秀吉軍が、大戦争に勝てないのは当然であろう。一人一人の武将が前線で健闘しても、全体としては連携が悪く、戦局を打開するような決定的な手が打てない。そうして戦況が悪化すると、武将たちの対立ばかりが目立つようになって、よけいに連携が悪くなる… ああ、何だか、負け試合のサッカーを解説しているみたいだ。
ちなみに、以前にも書いたけど、文禄・慶長の役や倭城に興味のある人は、夕里さんのブログや 「倭城ナビ」のサイトを参照してください!ナワバリングのブログ(人生竪堀)からも、リンクを貼ってあります。(西股総生)
《今週のワンポイントイラスト》
日本軍、個々の隊は強いけど、司令塔不在でスタンドプレー状態…(みかめ)
文・絵/TEAM ナワバリング(西股総生・みかめゆきよみ)
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今週の『真田丸』SNS反応【編集部まとめ】
早丸観た感想としては、本丸の時間を前倒ししていち都道府県の首長選に過ぎない都知事選の特番をやるNHK公共放送としてどうよと言わざるを得ない #真田丸
— たざきしあん (@westinghouse565) 2016年7月31日
この夢の対決感w #真田丸 pic.twitter.com/MsQZEAh3K1
— まとめ管理人 (@1059kanri) 2016年7月31日
矢沢頼綱(YAZAWA)の最期がまさかの即堕ち2コマで視聴者騒然 #真田丸 – NAVER まとめ https://t.co/6dXakMZx0v
— 緋坂 (@hisakacchi) 2016年7月31日
賑やかに里芋を頬張っていた皆はもういないよ。秀長さんも孫七郎さんも、おっかさまも死んでしまったよ。市松も虎之助も辰之助も遠くに行っちゃったよ。寧さんが好物を作って持ってきても、秀吉は味がわからないよ。大坂城の初回がこんなに哀しく思い出されるなんて。#真田丸
— ぬえ (@yosinotennin) 2016年7月31日
#真田丸 今回で面白かったのが、いつの間にか真田家が徳川に情報戦において包囲されていることであった。太夫はもちろん、信幸も完全に包囲されていて、その包囲網を両本多が築いている当たり。今回黙っていた昌幸が気に入らなかったのは、このあたりだろうか?
— 地雷魚『越天の空』新潮社より発売中 (@Jiraygyo) 2016年7月31日
真田丸30話ラクガキ。稲姫と真田家、信繁信幸の関係など建設的な方向に向かう描写が、太閤の終末感に拍車をかけてたまらない回でした。華やかな場面が似合う豊臣秀吉の姿を眼に焼き付けつつ、激動の次回が待ち遠しい。 #真田丸 #丸絵 pic.twitter.com/ndKjMkSLqM
— 福井あしび (@makoXmako) 2016年7月31日
『真田丸』第30話。今回は、卑怯なぐらいの「情」の回。源次郎が、兄や父をうらぎってまで豊臣につくすまでの様子が描かれる。これでは、信繁は最後まで豊臣を裏切れまい。とは一方で金子15枚で、最後の最後まで豊臣を守り続けた片桐さんが哀れともいう(泣) #真田丸
— 地雷魚『越天の空』新潮社より発売中 (@Jiraygyo) 2016年7月31日
出浦「同類は、目を見ればわかる…」
これもオフ会で汎用性ありそう#真田丸— u (@urako0924) 2016年7月31日
実家の為にと敵方に嫁いでも子供が産まれると事情が変わるってのは伊達政宗のお母さんの義姫様ですでに知ってるよ #真田丸
— おいでよ宮城 (@oimyg) 2016年7月31日
#真田丸 の茶々すごいよ…死神スキル高すぎるよ…。あと、ジーサンが怪我をきっかけに寝込む展開とかほんと…リアルすぎて腹が痛いよ…。
— 高枝景水@C90(日)東ピ07a (@namazudou) 2016年7月31日
真田丸オープニング観てたら、「医事指導 酒井シヅ」と…。日本医史学会理事長先生じゃ。リアルな認知症表現はその為じゃね。納得。#真田丸
— ヌメガッパ (@67MajorMinor) 2016年7月31日
片桐さんの格差は後の伏線?
大谷さんの首巻きは晩年の白頭巾とか
どこまでやるのかな。小日向さんの痩せは晩年の役作り
秀吉が亡くなったのは61歳。
あそこまで詳細に脚本描いてると
演技のさじ加減が難しいだろうなあ#真田丸 pic.twitter.com/6ejWD8ZpXp— ぱる (@BlueAugust0811) 2016年7月31日
でも今の信繁は典型的な「自分こそが可哀想なこの人を見てあげなきゃ」症候群ですよね。秀吉には身内を始め信繁なんかよりずっと近しい関係の人がすでにいるわけで、信繁は他人でしかない(だから忘れられてた)し出過ぎてる事に気づけない。この視野の狭さが信繁の致命的な欠点なんですな #真田丸
— 文鳥日記 (@buncho_nikki) 2016年7月31日
元になるエピソードがあるとはいえ、今、清正に大地震を気遣う発言をさせる脚本と演出 #真田丸
— あまき\寝言は寝て死ね/ (@amquiche) 2016年7月31日
第30回における、「二十六聖人の殉教」(1597年)。自ら助かる道を棄て、主体的に殉教を受け入れたフランシスコ吉が描かれていたが、当時の殉教の動機・精神性を理解するためには、近世日本における聖書受容について考える必要があるなと思った。 #真田丸
— mika (@mikafone) 2016年7月31日