太らないにはワケがある。痩せている人だけが持つ「腸内細菌」が判明

2016.10.20
by yomeronpou
 

この本には腸内細菌とヒトの体調や健康との間の、興味深い関係がたくさん書かれているが、私が特に面白いと思ったことを紹介したい。痩せた人の腸内ではアッカーマンシア・ムシニフィラという細菌が腸内細菌全体の4%を占めているが太った人ではほとんどゼロだという。この細菌は腸壁の粘液層の表面に棲んでいて、自分たちが棲みやすい環境を作るために、腸壁の細胞の遺伝子に化学信号を送って、粘液を分泌させているのだという。粘液層が厚くなると、あるタイプの腸内細菌の表面にあるリポ多糖が血液中に入りにくくなり、肥満を防ぐのだという。

痩せた人がエネルギーを貯蔵するときは、新しい脂肪細胞を多数作って、それぞれに少量の脂肪を入れるが、太った人は新しい脂肪細胞を作れず数少ない細胞に無理やり多量の脂肪を蓄えて炎症を起こさせているのだという。その犯人がリポ多糖らしいのだ。実際、太ったマウスにアッカーマンシア・ムシニフィラを加えた食事を与えてみると、マウスの体重が減ったのである。さらに、マウスに高脂肪な餌を与えて太らせると、アッカーマンシアが減少し、食物繊維を加えると、再び増加することが分かったという。

痩せるためには、食べる量を減らして運動すれば良い、と金科玉条のように言われ続けてきたが、どうやら話はそんな単純なものではないようだ。腸内細菌の組成によって、肥満か痩せかが決まるのであれば、肥満予防のためには、腸内細菌叢をどう整えるかが喫緊の課題となる。アメリカでは、肥満の人の割合が増え続けており、2030年には人口の86%が過体重(BMI=体重kg÷身長m÷身長mが25-30)または肥満(BMIが30以上)になると予測されているという。

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