逃げるは恥だが役に立つ!中国がヤバそうな件について

 

経済コラム

さて、スワップというものが出てきましたが、スワップとはデリバティブの一種です。デリバティブというのは、日本語で金融派生商品といいます。その名の通り、金融から派生した証券のことです。

が、市場の大半を占めているデリバティブが、金利スワップというものです。この金利スワップは、なんと、世界に6京600兆円分が蔓延しています。こんな数字見たことないと思います。金利スワップとは何かというと、変動金利と固定金利の交換(swap)です。

例え話で説明しましょう。

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Aさんが、1億円持っているとしましょう。これをBさんに変動金利5%で貸しました。

Bさんは毎年Aさんに、500万円支払いをします。ただし、変動金利なので、市場の動向に合わせて変化もします。

そんなとき、お金の貸し手であるAさんは、Cさんから面白い話を持ち掛けられます。

Cさん「おいおい、Aさん何やってんのよ?世界は金融緩和真っただ中だよ?金利なんて上がるわけないの。分かる?つまり、俺たち金を貸す側は固定金利のほうがいいの。金利が変わらないことをうたい文句にして、めちゃくちゃ儲けることができるんだからさ?
実際は、世界中が金融緩和中だろ??要は、固定金利で儲けた方が利回りが高くなって得なわけ。俺なんてDさんに固定金利10%で2億円貸してるぜ?」

Aさんは悔しがりました。自分は500万円しか儲かってないのに、Cさんは2,000万円も儲けを出してる。貸している額は、自分の倍だけど、儲けている額はその4倍。悔しい!!!Aさんは、Cさんを口説こうとします。

Aさん「Cさん、実際金利はいつ上がるかわからないじゃないか?そこで提案なんだけど、Cさんの1億円固定金利10%の債権と、私の1億円変動金利5%の債権を交換しない?そうすれば、Cさんはバランスが良くなって、リスクが減るよ?

なるほど。確かにそうだとCさんは思いました。

契約成立です。Cさんは、資産2億円10%固定金利債券から1億円10%固定金利債券、1億円5%変動金利債券となりました。Aさんの資産は、1億円5%変動金利債券から、1億円10%固定金利債券へとなりました。

さて、その数日後、なんと、この4人が住む国では、力強い景気を背景に金利が上昇してきました。変動金利は見る見るうちに上昇し、利率15%になりました。(今、アメリカで起こりそうになっていることです。)

先ほど、変動金利を固定金利に交換したAさんは大損です。変動金利で貸していれば、15%だったはずの債権が、10%のままなのです。

さて、Aさんが問題なのは、損しただけではすまないことです。実はAさん、1億円の内、9000万円は、変動金利で借りた借金だったのです。
今までは、変動金利4%で借りて、変動金利5%で貸していたので、ぎりぎり儲けてきました。

10,000万×0.05 – 9000万×0.04 = 140万

しかし、状況は変わりました。

変動金利5%の債権は10%の固定金利債券と交換し、変動金利4%の債務は、14%の債務にと変わったのです。

10,000万×0.10 – 9000万×0.14 = – 260万

なんといつの間にか、260万円の赤字。。。

ヤバイ、ヤバい。。。利息が払えない。

というわけで、Aさんは破産です。

Game Over
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もちろん、この逆パターンもありますし、金利が上がる下がるは国の信認も影響して複雑です。だからこそ予測できない

さて、世界にはAさんみたいな銀行がたくさんあります。金利は上がらないと高を括っている銀行たちですね。そんな予測とは裏腹に、金利はたぶん普通に上がります。先ほど述べたとおり、この固定金利と変動金利の交換が世界で6京600億円分行われています

どこかでGame Overが発生しなければいいのですが。。。

毎日5分! 経済英語NEWS!』より一部抜粋

著者/八木翼
TOEIC235点だった私が900点を超えるまでの勉強の過程で感じた、「英語のニュースを解説してくれる教材があったらいいのに」という思いを形にしました。全ての英文に和訳、文法解析がついています。
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