ニュースを見ると、「いま、時代は紅茶味のコーヒーなのか」「いま、時代は産官学の連携なのか」のように、「自分は時代に乗りきれていない」と思って焦りを感じる人もいます。
テレビで取り上げると、「世の中はこうなんだ」「今の主流はこうなんだ」と思いやすい。
SMAP解散で世の中が大騒ぎしているように見えかねないけれど、メディアが作っている騒動に過ぎないのであって、実際に騒いでいる人はあなたのまわりに多くはいないでしょう。
私の知る範囲では、一人だけ「SMAPが解散しちゃうんです~しんごくんのファンなんです~」と嘆いていて、そのまわりも「え~、そうなんですか。寂しいですね~」と合わせているものの、その程度。
メディアと世の中は、一致していません。
なのに、なぜこうもメディアに影響されやすいのでしょうか。
「他者との比較」の意識が強いからと考えられます。つまり、「みんなと同じなら安心、違うと不安」の意識が根底にあって、「みんなは何に関心があるのかな」「みんなが知っていて、自分だけ知らないと損をする」とメディ
アを気にする。
ちっとも「みんな」ではないのに、「みんな」と錯覚してしまう。
しかし、逆に考えてみてください。つい最近始まったばかりで、どこにでもあるわけではない(主流ではない)からこそ、ニュースになるのです。
全国のぶどう農家が当たり前のように採用している方法は、ニュースになりません。「たった一軒の農家だけが試験的に採用して、とりあえず成果が出たみたい」くらいのネタが最も「おいしい」。
3年後には「弊害が出たので辞めた」「採算が合わなくて続けられなかった」としても、業界の関係者ではないので知ったことではない。
健康番組や健康雑誌で取り上げるダイエット法なんて、その最たるものでしょう。
「専門家が高く評価している」「実はもう何十年も前から研究されてきた」みたいな「パーツ」をセットでくっつけてくるので、「今度こそ決定的なダイエット法なんだ」と勘違いしやすいけれど、実際のところは「つい最近始まったばかり」で「どこにでもあるわけではない」から話題として取り上げられているだけです。
業界の人に「それをバラすな」「それを喜ぶ人がいるんだからいいじゃないか」と叱られそうですが、「分かっている人は分かっている」ので、メディアにも業界にも踊らされない。
大事なことを、当たり前のように、淡々と続けるだけです。
その「大事なこと」こそ、力の入れどころです。
テレビや雑誌を見て「へ~、そうなんだ」と驚いたり楽しんだりするのは悪くないとしても、メディア関係者以外にとっては「力の入れどころ」ではない。
「SMAPの誰それが結婚するなんて~。ショックで仕事になりませ~ん」では、明らかに力の入れどころ、抜きどころのバランスがよくない。
「いいえ、私にとっては仕事より、同僚との人間関係より、芸能界が大事なんです」と言い張るなら、それはそれで充実した生き方なのでしょうけれど。