力の入れどころと抜きどころ
力の入れどころと抜きどころを見極めるには、「何が大事?」という問いかけをしながら考えていくのがコツです。
この問いかけを続けないと、つい自分の関心事ばかり深く掘り下げてしまう。
たとえば、新規に講座を始めるとします。
企画のスタート時にまず意識を集中したいのは、「誰に、何を」提供するか、です。
「誰に、何を」が決まっていない段階で、「レッスンの開始時刻」や「名刺を縦書きにするか横書きにするか」を考えてもしょうがない。
「誰に」を考えるプロセスとして、レッスンの時間帯をざっくり決める可能性はあります。
「フルタイムで働いている会社員」が相手なら、「平日の午前中」では無理があるでしょう。
「平日の夕方以降か、週末かな」くらいにざっくり意識する必要はある。
しかし、
「7時だと私が○○の都合で間に合わないから、7時15分なら安心です」
「調べてみたら、いつもと違う○○線に乗れば7時10分なら大丈夫そうです。だとしたら15分より10分のほうが望ましいでしょうか」
こんなふうに思考や行動が細部に入っていったら、「力の入れどころ」が違っています。
今はそこに力を入れる段階ではない。
ところが、やりがちなんですよね。思考のコントロールができないと、「今はこれが大事」なところに思考を戻すことができず、興味の赴くままにさまよってしまいます。
「仕事を始めたら、やっぱり名刺ですよね。憧れなんですよね~、自分の名刺」
「知り合いに、とってもステキな名刺をデザインしてくれる人がいて、もうゼッタイ彼女にお願いしようと決めてるんです」
「あ、でも、業種からして、縦長タイプのほうが違和感がないでしょうか、信頼性という意味でも。私の中では、横長で文字が白抜きで小さく右下に入って──こんな感じなんですけど、お洒落じゃないですか?」
──と、こんなおしゃべりでつい盛り上がりがちなのも、暗く落ち込んで弱気になるよりは良いのですが、「仕事をしていることにはならない」と肝に銘じましょう。