集団的自衛権は日本の安全保障に必要なのか?

 

中国脅威論による「集団的自衛権」は成り立たない

もしこれが実際の状況だとしたのなら、人民解放軍と米軍が軍事衝突することは考えられないことになる。もちろん事故による衝突はあり得るが、両国が本格的に戦争をする意思がない以上、大きな事態に至らないように解決されてしまうことだろう。

ところで、「集団的自衛権」の必要性の根拠のひとつになっているのは、中国の軍事的進出がもたらす脅威である。中国と米軍が衝突する危険性は日増しに増加しているという認識だ。この危険性に早期に対処するためには、「集団的自衛権」を根拠に自衛隊を米軍と一体化させ、南シナ海にも展開できるようにするべきだという理屈だ。

しかし、「中国国防白書」とアメリカの中国に対する対応の方法などを見ると、日本にとって中国が差し迫った軍事的脅威に将来なるとは到底考えることはできない。

ということは、「中国脅威論」によって「集団的自衛権」を正当化することはできないことは明白だ。万が一、東シナ海が緊張した場合は「個別的自衛権」で十分に対処できるはずだ。

安倍政権が「集団的自衛権」を急ぐ本当の理由

このように、日本の安全保障にとっては「集団的自衛権」は必要がない。「集団的自衛権」は、自衛隊を米軍と一体化させ、アメリカの世界覇権の維持のために海外展開させたいというアメリカの要請にしたがったものである。おそらく日本の安全保障とは関係がない。

ならば安倍政権は、なぜ憲法違反まで犯して、それもあまりに短い期間で「集団的自衛権」を成立させようとしているのだろうか?

これには非常に深い裏がありそうだ。これは次回に書く。

image by: 首相官邸

 

『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』より一部抜粋

著者/ヤス
早稲田大学卒。企業の語学研修、IT関連研修、企業関連セミナー、コンサルティング等を担当。世界の未来を、政治経済のみならず予言やスピリチュアル系など利用可能なあらゆる枠組みを使い見通しを立てる。ブログ『ヤスの備忘録』で紹介しきれない重要な情報や分析をメルマガで配信。
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