【森友学園】8億値引き問題と鴻池氏の関係を各紙はどう報じたか

 

教育基本法に故意に抵触すれば学校閉鎖も

【毎日】は1面トップと3面の解説記事「クローズアップ」、5面には記事と社説、社会面にも関連記事。見出しを並べる。

(1面)

  • 鴻池氏側、国に仲介
  • 森友学園 陳情15回
  • 事務所 便宜供与は否定
  • 紙包み「商品券」 森友側説明
  • 会計検査に着手
  • 首相、自民の調査否定 参院予算委

(3面)

  • 「森友」保守系に浸透
  • 議員ら 思想に共鳴
  • 用地取得 異例ずくめ
  • 財務局、鴻池側へ経過伝達
  • 籠池氏就任後 右傾化
  • 学園運営の幼稚園

(5面)

  • 森友問題 与党議員「口利き」焦点
  • 野党「あったはず」と猛攻
  • 森友学園 教育機関と言えるのか(社説)

(31面)

  • 用地取得陳情 「森友」露骨に値切り
  • 「何とかしてや」
  • 寄付金頼み 審議会懸念

uttiiの眼

今日の《毎日》の特徴は、森友学園の右翼的な教育内容とその学園に共鳴する保守派人士との関係にフォーカスしている点。

3面の解説記事「クローズアップ」は、学園側と保守政治家らの強い結びつきを、単に、陳情と口利きという関係ではなく、思想的な共鳴”の次元に掘り下げて説明しようとしている。

鴻池氏は、2008年に学園が運営する塚本幼稚園を訪れた際、「可愛い園児が朗々と教育勅語を暗唱したことに感動したと絶賛安倍総理は、森友学園問題が発覚した後も「私の考え方に非常に共鳴している方」と国会で答弁していた。新設される小学校の名誉校長に就任していた首相夫人、安倍昭恵氏も「園児たちはお行儀が良く…毎朝君が代を歌い、教育勅語を暗唱」などと讃える発言をしている。

その籠池氏は憲法改正を目指す「日本会議大阪支部の運営委員でもあるという。

こうした“共通基盤”のうえで、最終的に「8億円の値引き」がなされたのだとすれば、同じ基盤の上に乗っている政治家の誰かが助力したのではないかという話になる。

学園の右傾化は、創立者森友寛理事長死去後、娘婿の籠池氏が後を継いでから始まったという。教育勅語の暗唱は2000年頃からで、保守派の間で話題になり、著名人が訪れるようになった中に安倍昭恵氏もいたという話。こうした記述はこの間なかったので、新鮮に響く。

野党は幼稚園の運動会で「安倍総理がんばれ」と言わせたのは「教育基本法が禁じる学校での政治的活動」と批判するが、文科相は「大阪府の判断」として距離を置き、また都道府県知事は故意に法令に違反する学校には閉鎖命令を出すことができるという。そして、「戦時下で天皇や国家への奉仕を求め、軍国主義を正当化した教育勅語」について、文科省自身は、「戦前のように我が国唯一の根本理念と教えるのは問題だ」としていると。

この文科省の姿勢には、微妙な“相対主義”が感じられる。戦前の軍国主義への反省から生まれた戦後体制の中で、明らかに国民主権の原理に反する教育勅語については、「我が国唯一の根本理念」として教えるのはもちろん、そもそも正しいものとして教えることが、排除されているべきなのではないか。文科省の“相対主義教育勅語もまた1つの選択可能な理念となし得る余地を残すための方便のように思える。

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