親会社のローソンも嫉妬する、高級スーパー「成城石井」の快進撃

 

1927年2月、東京・成城学園前駅の近くに、成城石井の前身である石井食料品店が創業しました。今年に創業90周年を迎えています。1976年に株式会社成城石井を設立し、1号店となる成城店をオープンしました。スーパーとして営業を開始したのです。

ちなみに、2号店を開店するのに12年を要しています。一気に店舗網を拡大するのではなく、基礎固めを行ってから慎重に出店を進めていきました。このことから、成城石井は基礎や基本を重視する経営スタイルの企業であることがわかります。

転機となるのが、1997年に初の駅ナカ店舗アトレ恵比寿店」(東京都渋谷区)をオープンしたことです。当時は駅や駅に直結した場所ではスーパーは売れないと言われていましたが、蓋を開けてみれば想定を上回る売り上げをあげたといいます。駅が、ただ通過する場所ではなく商売が成り立つ場所であることを示した形になりました。アトレ恵比寿店が成功したことにより出店の幅が広がったため、その後は出店を加速させていきます。

成城石井のコンセプトやレイアウトは店舗によって大きく異なります。決まったフォーマットがなく、地域や立地に合わせた店づくりを行なっていることが特徴的です。その理由は、成城石井は基本的に小型店で出店し、地域の他のスーパーにはない商品を取り揃えることで差別化を図る戦略を採用しているため、地域のニーズに合った厳選された品揃えを行う必要があるからです。そのため、店舗によって趣が大きく異なるのです。

成城石井はユニークで高品質な商品をリーズナブルな価格で販売することで消費者の支持を獲得してきました。バイヤーが世界中で良い商品を探し、産地や市場で直接買い付けることで実現しています。このように手間をかけることで、成城石井でしか手に入らない商品を取り揃えることに成功しているのです。

例えば、土地柄なのか、京都の名産品で良いものは東京には一般的に出回らないといいます。そこで、成城石井のバイヤーは現地に直接出向いて交渉することで、一般的には販売されない商品を買い付けることに成功しています。物産展などでは行われていたことですが、これをスーパーで行ったことが革新的だったのです。

成城石井といえばワインが有名です。ワインは関連会社の東京ヨーロッパ貿易を通じて直接買い付けることで、稀少性が高いワインを取り揃えることができています。輸入の際の品質管理も徹底し、ワインに適した温度15℃前後、湿度60~70%を保ち、最適なコンディションで運ぶことで品質を保った状態で消費者に販売することができています。

総菜が充実しているのも特徴的です。高まる中食需要に対応するために、1980年頃から総菜を取り入れました。さらに、1996年にスーパーでは当時まだ珍しかったセントラルキッチンを稼働させました。総菜、パン、デザート、加工肉などをプロの料理人がセントラルキッチンで製造しているのです。中食需要は現在も増加しています。日本惣菜協会によると、2016年の中食市場は9.8兆円で前年比2.7%増加しています。先見の明があったといえるでしょう。

成城石井はこだわりの高品質商品を世界中から買い付けています。一方、こだわりの商品が世界中を探しても見つからない場合は自社で商品を開発し、プライベート(PB)商品として販売しています。既製品と同じようなものを単に価格を下げて販売するだけの一般的なPB商品とは一線を画しています

こうしたことにより成城石井はユニークで高品質な商品をリーズナブルな価格で販売することができています。リーズナブルと言っても安売りはしていないので、利益率は高く保つことができています。成城石井の売上高営業利益率は業界の中でも高く、2017年2月期は8.1%、2015年12月期は7.3%にもなります。これは非常に高い数値です。

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