復活が見えてきた最近のソニーの残念なところ【中島聡】

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Windows95の設計に携わり、「右クリック」などを現在の形にしたことでも知られる世界的プログラマーの中島聡さんが発行するメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、中島さんが最近目に止まった記事の中から特に気になった話題を取り上げています。今回は、中島さんから見ても最近再び「面白い商品」を出すようになってきたソニーの動きに注目し、同社のあるべき姿を考察。さらに、別の注目記事を読んだ感想として、東芝やNTTにある恐怖の「社員監視組織」の実態についても言及しています。

私の目に止まった記事

元アップル副社長の辛口エール ソニーもっとこだわれ

元アップル副社長の前刀禎明氏による、最近のソニーに対するコメントです。テレビ画面から音が直接出る「ブラビアA1」はアイデアとしては素晴らしいけれども、リモコンが従来型なのはもったいない、などの厳しいコメントです。

ソニーに限った話ではありませんが、家電メーカーの作るUIやリモコンがいつまで経っても時代遅れなのはとても残念です。「画像の綺麗さ」などにはあれほどこだわって作っている人たちがいるのに、UIやリモコンは明らかに軽視されています。

その意味では、ソニーのAIBO(1999年発売) や コクーン(2002年発売)は、普通の家電メーカーの製品とは大きく違う画期的な商品で、あの頃のソニーは本当に輝いていました。しかし、コクーンが、同じソニーの「スゴ録」に「売りやすい(つまり、家電量販店が他のメーカーの製品と横並びで売ってくれる)」という理由で負けてしまい、AIBOは「収益にならない」という理由で製造中止になってしまいました。

そして、その背景には、とにかく商品のラインアップを増やして売り上げをあげようシェアを増やそう松下電器を追い越そうという経営陣の戦略があり、その過程で、創業者の井深大氏の「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」という精神がないがしろにされてしまったのだと思います。頭でっかちの MBAが市場調査をした結果書いた企画書には、魂が欠けているのです。

しかし、最近のソニーからは、次頁で紹介する玩具もそうですが、再びソニーらしい商品が出てくるようになったと感じています。エンジニアたちが自由気ままな発想で、「この技術とこの技術を組み合わせたら、こんな面白いことが出来るかも!」という発想で作ったものを上手に育て、商品化し、消費者に喜んでもらう。それがソニーのあるべき姿だと私は思います。

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