世界恐慌よりもひどい…ブルームバーグ「最終バブル崩壊論」の真意

 

1929年と現在、世界情勢の類似点

次に山広先生は、1929年と現在の、世界情勢に目をむけます。

独立戦争、南北戦争、さらに29年の株価暴落とそれに続く大恐慌と、米国はおよそ70年の周期で大きな危機を克服して、これまで発展してきた。大恐慌は大英帝国の力が衰え、覇権国交代期の不安定な状況の下で発生している。米国はまだ、覇権国としての意識も能力も持っていなかった。
(同上)

1929年当時、イギリスの覇権は衰えていたアメリカは、覇権国になる準備ができていなかったと。そのとおりですね。

その後、米国はニューディール(新規まき直し策)の成功と第2次世界大戦で勝利を収めて、覇権国に成長。パクスアメリカーナ、つまり米国の覇権による世界の平和を謳歌(おうか)する。

 

しかし、終戦から70余年経過して、米国型資本主義が限界に近づく中で、再び覇権国交代の時期に差し掛かってきた。だが、新たな覇権国がまだ十分に育っていないところは、大恐慌の時とよく似ている。
(同上)

前回は、イギリスの覇権がゆらいでいた。今回は、アメリカの覇権がゆらいでいる。前回、アメリカは覇権国になる準備ができていなかった。今回、次の覇権国になる準備ができている国はない。似てるよねと。これもその通りですね。

「最終バブル」の意味

しかし、山広先生は、1929年と今回では、意味が全然違うのだよという話をします。

ただし、大きく異なる点がある。それは、大恐慌は米国資本主義経済が大きく飛躍する直前の準備期間だったことだ。一方、これから始まる覇権国の交代は、米国資本主義が衰退に向かう中で起こる。つまり、米国の建国以来230年余にわたり発展してきた米国型近代資本主義の衰退期で生じた「最終バブル」といっても言い過ぎではないだろう。
(同上)

前回、アメリカは、世界恐慌→世界大戦を通して、大きく飛躍した。実際、覇権国家になっています。今回は、「米国型近代資本主義の衰退期」でバブルが起きた。要するに、「バブル崩壊後、アメリカはさらに衰退する」と。

これ、世界恐慌と第2次大戦を経て飛躍したアメリカ、世界中の植民地を失い没落したイギリスの運命を思いだせばわかりますね(今のアメリカは、当時のイギリスの立場)。

今回が「最終バブル」なのかわかりません。しかし、上の話、「国家ライフサイクル論からもとても納得できます。

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