ロケットマンと急接近の米韓。カヤの外に置かれた日本の立場は?

 

この急速な流れと進展に対し日本政府は、「北は日米韓の連携を分断しようとしているのだろう。北朝鮮の過去の対話は非核化につながってきておらず、アメリカの北朝鮮に対する制裁の効果が出ているので、平昌五輪参加などを通じて必死に“ほほえみ外交”を試みているのだろう」と冷ややかにみていた

しかし、アメリカが米朝首脳会談に応ずる姿勢をみせ始めたことから、日本の頭越しに話が進んでいることに警戒感を示している。

実際、ここへ来て急速に南北対話米朝対話の動きが進展していることに疑念の声もあることは事実だ。アメリカの制裁が厳しくなり北が音をあげてきたため、いつもの北の時間稼ぎだろうという見方など、だ。ただ、アメリカが本気で北を攻撃するとなれば、北の体制は一挙に崩壊しかねないので、対話路線に切り換えたという見方も有力だ。

いずれにせよ、北が核廃棄を約束したとしても実現までには相当な時間がかかるし、検証も必要になる。事は4月末以降から本格的に動き出すとみられるが、日本はまた完全にカヤの外に置かれている格好だ。また拉致問題などがどう扱われるかも気になるところだが、米朝対話で重要な議題となるかどうかも定かでない。日本はまたもアメリカのシリを追いかけるしか術がないのか。

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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