銀座のど真ん中に謎の看板。気になったので作者に連絡した結果…

2018.07.29
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by gyouza(まぐまぐ編集部)
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銀座4 丁目の地下道に「謎の看板」が大量に展示。これは一体何なのか?

先日、野暮用で東銀座へ出かけたMAG2 NEWS編集部。地下鉄の改札口から歌舞伎座方面へ抜ける地下道を通り抜けたのですが、その途中に「奇妙な看板」がいくつも展示されていることに気づきました。

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おやおや? ここは銀座のど真ん中、銀座4丁目交差点の真下です。しかも同じ看板がたくさん、すべて『あの時の「○○○」』とだけ書かれています。

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実はここ、「銀座プロムナード・ギャラリー」という晴海通り沿いの地下道を利用したギャラリー/貸し画廊。申請して許可がおりれば自由に展示できるのが特徴で、普段は書道や油絵、写真などが主な展示物だったはず。しかし今回、展示されていたのはこの謎の看板のみ。

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これは一体なんだろう?と思ったMAG2 NEWS編集部は、この謎を解こうと、作者の情報が掲示されているパネルを確認したところ、、、なんと作者の解説は「QRコード」が1つ掲示されていただけ、名前の表記すらありません。ううむ、ますます怪しい……しかし余計に気になる! この作品は何なのだろうか?

銀座プロムナード・ギャラリー」のスケジュール表を確認すると、7月21日から8月4日まで、「太田勝之」さんという人が展示をおこなっていることがわかりました。作者の名前はわかったけど、まだ作品の謎は解けぬまま。。

そこで、怪しいと思いながらも例の「QRコード」を読み込んでみることに。。。スマホで読み込むと、一つのブログがヒット。

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なんと、作者による作品に関する解説が出てきたのです。なんという秘密感、なんという現代美術感。 

こんな不気味な展示の、意味も分からないQRコードを読み込んで、ウィルスやフィッシングサイトだったらどうするんですか?と、思いながらもこんな所までご覧いただきましたあなたの勇気と好奇心、そして、時間と心のゆとり。その全てに感謝と敬意を送りたいと思います。

 

本当にありがとうございます。心からお礼申し上げます。

 

もしかしたら、美術とか芸術。そういう類のものは、こういう気持ちの集合体、あえて言葉にするなら「善意」によって成り立っているのかもしれないと思ってしまいます。

 

申し遅れましたが、自分は、この展示の作者で、太田勝之(おおたかつゆき)と申します。

 

趣味でこんなことをやっている、しがないサラリーマンでございます。

た、たしかに、こんなに怪しいQRコードを読み込んだのは生まれて初めてでした。しかし、銀座のど真ん中の地下で、こんな不思議な看板が展示されていれば誰だって気になるハズ。そう思って、私は思わずここにたどり着いてしまったのです。

しかも、なんと作者はサラリーマン! なぜ、こんなところでこんな展示を。。。謎は深まるばかりです。

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ブログの解説を見てみると、どうやらこれは、今はすっかり見かけなくなった「捨て看板(略して、捨て看)」だとか。そういえば昔、国道沿いや街角で、分譲マンションの宣伝や風俗店の案内など、完全に違法の広告媒体だけど、街中の電柱によく針金でくくりつけられていた「捨て看」をよく見かけたことを思い出しました。

この捨て看と『あの時の「○○○」』にはなんの関係が? この分岐する線路は何を意味するのか? その答えは、例のブログに書かれていました。

● あの時の「〇〇〇」展開催にあたり

ふむふむ、なるほど、そういう理由でこの捨て看だったのか。。。詳しい解説は、上記のリンク先で各自で読んでいただくとして、これを読んで妙に納得してしまったMAG2 NEWSは、どんなサラリーマンがこの作品を作っているのか、俄然興味が湧いたのです。

せっかくなので、このブログにコメントを残し、今回の展示をMAG2 NEWSで紹介したい旨をお伝えし、アポをとっていろいろ質問してみることに。

すると翌日、メールとfacebookとブログのコメント欄にテンションの高いコメントが。

コメントをいただきありがとうございます!!
このような話をいただきまして大変うれしく思っております。
また、初めてのことでもあり、右往左往しております!

展示場は解説もなく「寡黙」なのにこのハイテンション、、、そのギャップに驚きつつも、MAG2 NEWSは太田さんにメールインタビューを試みてみました。以下、太田さんによる作品展示のQ&Aをお楽しみください。


『あの時の「○○○」』太田勝之さんインタビュー

──今回、銀座プロムナードギャラリーで展示をしたきっかけを教えてください。

太田:以前から、通路とか、そういうところで展示をしたいと思っていたのですが、たまたまのきっかけでギャラリー検索したところ、この「銀座プロムナード・ギャラリー」の存在を知りました。

1.いろんな人が常に通る通路であること
2.会社から最寄り駅であること
3.展示期間の長さ(2週間)と費用の安さ
4.銀座は「立体展示は不可」であること

自分にとっては、これらは全て好条件だったので、展示希望を出しました。

──今回の「捨て看」ですが、自作ですか? それとも捨て看の業者に作ってもらったレディ・メイド(既成品による芸術作品)ですか?

太田:この捨て看板は、デザインを自分が行い、業者へ発注させていただきました。やはり「餅は餅屋」だと思いました。

看板ひとつひとつに職業と年齢が書かれている

看板ひとつひとつに職業、年齢、現在住んでいる地名などが書かれている

──各看板に、それぞれ職業や年齢などが設定されていましたが、あの設定のルール(取り決めの方法)などありましたら教えてください。

太田:自分が今、持っているスマホのアドレス帳は、自分が大学生の時から、機種やキャリアが変わってもずっとそのまま移植してきたものです。なので、相当数のアドレスが溜まっていますが、その分、疎遠になってしまった方、申し訳ないが、誰だかよく覚えていない方もたくさんいます。そのメモリ登録されている全ての中から、無作為に52名をピックアップしました。

ピックアップされた方のほとんどが今は疎遠になってしまった方々ですが、その人に関する風の噂で聞いた今の状況であったり、付き合いのあった当時こんなことをしたいと言っていたということや、付き合いがあった時そのままのプロフィールを載せました。

でも、これも個人情報にあたるかもしれない、怒られることがあるかもしれないという可能性のある方もいましたので、一部をフィクションにしています。実在するプロフィールのほうがリアリティがあると考えたからです。

この説明パネルを設置すること自体を最後まで悩みましたが、この説明パネルがあることによって「この捨て看板は、誰かの捨て看板である」という事が、少し分かりやすくなったかなと思っています。

──普段は会社員をされているということですが、どうやって作品を作られているのか教えてください。

太田:よく聞かれることで、いつもちゃんと答えられていないので不安ですが……。自分の制作の基本は、インスタレーション(空間作品)ですので、まずは展示してもいい空間がないと実質的には進まない部分があります。

空間が決まってから、そこで何をするか?そもそもその場所はどんな場所なのか? その空間をどう変化させたり、いつもとはちょっと違う切り口で見せることで、そこに日常的にいる人たちや、その展示にために来る人、美術に興味がある人、ない人、様々な場所の状況や人の中から、何を見せていくのかを最大公約数に近いであろうテーマや、モチーフを抽出してイメージを練り上げていく感じです。

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やると決めたけど、やるまでの腰が重いので、とにかく無鉄砲に場所と期間を押さえて、追い込む。場所も期間も決まっているんだから事前にとっとと準備して、ゆとりを持って進めればいいのに、やっぱり追い込まれないとできなくて、搬入日前日は徹夜作業のドタバタ騒ぎ。これが現実です。(笑)

──今まで他の作品を制作(展示)していたことはありますか?

太田:20代後半、いろいろな鬱憤が溜まりまくりまして、30歳になってはじけた感じです。辛いだけじゃ生きてられないから、これからは毎年、何かしら作って発表していこうと決めています。今までは、普通のギャラリーをはじめ廃屋工場や、喫茶店、ビルの屋上で発表したこともありました。

と言いつつ、ここ2、3年ほど、結婚だなんだとバタバタしてサボってしまいましたので、今回は久しぶりの展示です。

──作品を作ること、発表することを子供の頃から意識していたことはありますか? 小さい頃の「将来の夢」は何でしたか?

太田:母親が洋裁をやっていた影響もあって、手先は器用な方でした。また発表は考えてはいませんでしたが、何かを作ること自体は好きでした。

あと、何かを作ると周りからリアクションがあって、それが嬉しかったです。その延長上的な感じが今につながっているのかと思います。今でも、作品だけでなく小物とか料理とか何か作ることが好きです。

小さいころの夢は特になかった気がします。正直、大人になった今のほうが、やりたいこととか夢みたいなものは多い気がします。

「ある程度、大人になって小銭を使えるようになると、小中学生のころの他愛もない欲望を叶えられるようになるから、そういうおっさんがどんどん、そのころの欲望を叶えてこじらしていく」みたいなことをどっかの誰かが言ってましたが、そんな感じがします。(笑)

──まさに、私たち「中年サラリーマンの希望の星」ですね、この度はお忙しいところありがとうございました。


というわけで、創作意欲満々のサラリーマン太田さんは今後も毎年、積極的に作品を発表していくようです。ぜひ、銀座の地下を埋め尽くすこの「捨て看」をご自身の眼で確かめに行かれてはいかがでしょうか。東京・銀座の銀座プロムナード・ギャラリー『あの時の「○○○」』展は8/4(土)まで。(MAG2 NEWS編集部)

太田勝之さん展示情報

2018年8月4日まで、東京・銀座駅、地下道「銀座プロムナード・ギャラリー」にて開催

観覧料:無料

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