メーカーさんの役目
そんなメーカーさんの情報を耳にすると、どうも業界は少し違った方向に進んでいるように感じます。ご存知のように、メーカーさんも問屋さんも小売店さんも、それほど業績は伸びていません。今までと違ったやり方をしようと思うのは当然です。だからといって、別の業界やあまり成果につながらない顧客に狙いをつけるのは正しいのでしょうか。
少なくとも、スポーツショップにとっては好ましい戦略に思えません。これでは、スポーツショップがますます衰えていきます。本当にそれでいいのですか。スポーツショップが元気であってこその業界だと思うのですがいかがでしょう。
では、どうしたらいいでしょう。まず、メーカーさんが打ち出す戦略は、顧客ターゲットを変えることではありません。顧客ターゲットを拡大することです。
例えば、野球市場を見てみましょう。レジャー白書によれば、日本の野球人口は580万人とされていますが、2018年のプロ野球観客数は2,555万人です。またサッカー人口も480万人ほどですが、2017年のJリーグ観客数は970万人です。メーカーさんは、この人たちを顧客ターゲットに加えなければいけません。これらのスポーツを好きな人たちに対する商品やサービスを開発するのです。
また、今後は「eスポーツ」が盛んになっていきます。そこに参加する人たちもスポーツが好きなはずです。これも新しい顧客ターゲットとなります。さらにいえば、VRやARやスマホでスポーツを楽しむ人たちも新たな顧客ターゲットです。技術向上のためのデータ管理やコンデション管理をする人もターゲットとなります。当然、メーカーさんはそれらの人たちに必要な商品を開発することが出来るはずです。
このように、業界にはまだまだ新しい市場があります。メーカーさんは、真正面からその市場に向き合い、スポーツ選手の能力向上や観客が楽しむことのできる商品を開発することが大きな役割なのではないでしょうか。それらの商品を、スポーツショップを通じて販売し、市場規模を大きくすることが役目だと思うのです。決して、目先のことだけを考えてはいけません。ぜひスポーツ業界の発展につながる、新しい商品や顧客の開拓に力を尽くしていってください。
■今日のツボ■
- スポーツ用品のカスタマイズは、大きな市場である
- 既存市場に真剣に向き合えば、まだまだ市場は拡大していく
- スポーツショップを活性化することもメーカーさんの役割である
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