7割のカーナビで使われる地図メーカー「ゼンリン」急成長の理由

 

輸送問題解決の切り札として取り組んでいるのがドローンによる宅配だ。この地域にはダム湖があるため、車だと時間がかかるが、ドローンならひとっ飛び。それを実現するために作り始めたのが、世界初となる「空の地図」だ。

山やビル、鉄塔など、空間にある様々な障害物を3次元のデータに落とし込んだ「空の地図」。ここに安全に飛行できる「空の道」を作っていくという。「空の道」が完成すれば、ドローン宅配が可能となり、過疎地への物資の輸送が大きく改善される。「災害や救急や病気などにも役に立つのではないかと思います。大変期待しています」(久喜市長)

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知れば欲しくなる?~予想外の新商品も続々

地図の楽しさをもっと知ってもらいたい。そこでゼンリンが売り出したのがクリアファイル。全国各地の「町の地図」がデザインされている。しかも、そこにはちょっとした仕掛けが。

例えば神戸のクリアファイルには、ところどころにクロワッサンのマークが。これは神戸で人気のパン屋さんの場所だ。名古屋のクリアファイルには、名物のモーニングが食べられる喫茶店にマークがされている。

実は今、地図をモチーフにした楽しい商品を続々と生み出している。中でも、夏休みの自由研究用に密かに注目を集めているのが「まちたんけんキット」(1080円)。ゼンリンのサイトから自分の町を選んで白地図をプリントアウト。さまざまなものを地図に書き込んでいく。「地図って楽しいな、面白いなと、子供たちに感じてもらえたらと思います」(マップデザイン事業本部・外池夏子)

~村上龍の編集後記~

人類にとって最大の発明は何か。わたしが注目したいのは「文字」「紙」「羅針盤」「印刷機」「インターネット」だ。羅針盤と海図は、陸上だと「地図」になるのかもしれない。

「ゼンリン」は、人、企業、官庁、組織にとって重要な「住宅地図」を、その時代における最新の技術を取り入れながら作り続けてきた。電子化では、当時の売上と同額の100億円を投資した。「便利そうだから」ではない。「導入しないと生き残れない」と予感したからだ。強みは技術や設備ではなく、調査員が足で集めたデータだ。データは永遠に残る。

<出演者略歴>

髙山善司(たかやま・ぜんし)1962年、長崎県生まれ。1986年、西南学院大学商学部卒業後、ゼンリン入社。2006年、営業本部長就任。2008年、社長就任。

(2018年8月9日にテレビ東京系列で放送した「カンブリア宮殿」を基に構成)

テレビ東京「カンブリア宮殿」

テレビ東京「カンブリア宮殿」

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テレビ東京系列で毎週木曜 夜10時から放送。ニュースが伝えない日本経済を、村上龍・小池栄子が“平成カンブリア紀の経済人”を迎えてお伝えする、大人のためのトーク・ライブ・ショーです。まぐまぐの新サービス「mine」では、毎週の放送内容をコラム化した「読んで分かる『カンブリア宮殿』~ビジネスのヒントがここにある~」をお届けします。

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