メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者で、世界を股にかけて活躍するクリエーターの高城剛さんへの年イチ恒例のロングインタビュー。今回は先日の記事に続く第2弾をお届けします。
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生産性向上を阻害する「日本式システム」の正体
──高城さんが2016年に書かれた記事「なぜヨーロッパは日本より働かないのに経済が成り立つのか?」が、今も検索経由で多くの方に読まれています。記事の公開から2年が経ってますが、状況は変わってないのでしょうか。
高城:よく国民性の違いがどうこうって言う人もいるけど、そういうのはあまり関係なくて、やっぱり組織の問題だと思いますね。
つい最近もレポートにありましたが、日本は有給消化率が先進国の中でもダントツに低いんです。韓国でさえ80%以上なのに、日本は50%ぐらいしかない。そのレポートによれば、日本は有給が申請しづらい空気があると。問題は、有給消化率などの「数字」にはありません。その空気にあります。
保守系評論家として知られた山本七平は、『「空気」の研究』で、西洋の一神教と日本のアニミズムの違いに答えを求めており、『日本人とユダヤ人』で、「日本人は日本教徒である」と論じています。つまり、アニミズムや和の精神を為政者や企業が巧みに用い、日本教徒は、いつでも出陣できる軍隊のように、働かなくても会社にいないといけないのです。
結果、数字を振り返れば、生産性が落ちるに決まってます。働かないんなら、帰った方がいいに決まってるのに、みんな会社にいなきゃいけないんですよ、日本教徒は。僕は、この人としても企業としても成長できない仕組みを「日本式システム」と呼んでいます。
最近は働き方改革だって叫ばれていますが、そんな言葉だけで日本の労働環境が改善されるとは思いません。ドイツでは、休暇中に会社のメールサーバーにアクセスしたら罰金があります。日本も最低限それぐらいやらないとダメでしょうし、「空気」を醸造している大元にメスを入れる必要があるでしょう。それは、マスメディア、特にテレビです。公共電波を使用し、日本教の「空気」を広くあまねく伝搬している間は、「よっぽどの大事」がない限り、「日本式システム」を自ら脱することはできないでしょう。
その力の源泉は、広告の仕組みにあります。また、「よっぽどの大事」とは、東日本大震災程度では済まないような出来事で、広告が出稿を止め、多くの人々が我に返るような時です。それがどんな出来事になるのか、まったく想像つきませんが、遠くない先に必ず来るでしょう。
歴史には、不思議とサイクルがあって、一番大きなサイクルによる社会変動は、太陽活動の変化によるものです。これにより、ローマ帝国の崩壊もフランス革命も明治維新も起きています。太陽光のプリズム解析により、地球の気候変動予測確率97%を誇るノーザンブリア大学のバレンチナ・ザルコヴァ教授によれば、地球はこれから寒冷化に向かい、17世紀後半から19世紀前半に近い状況へと変わります。当時は、小氷期になり、ロンドンのテムズ川が凍りました。これにより、食糧危機があちこちで起き、天災が勃発し、社会変動へとつながりました。
今日の最大の問題は、エネルギーになると僕は考えます。にわかに信じられませんが、可能性のひとつとして、頭の隅に入れておいた方がいいでしょう。明日のことなんて、誰にもわからない一方、広い可能性を事前に思案した人だけが残ると、歴史が教えているのです。