安全・安心な「日本製大麻」を東京で作るべきだ
──2018年10月、カナダが主要先進国で初めて娯楽目的の大麻が合法化しました。WHOも大麻に関する見解を大きく変えたこともあり、日本でも大麻解禁に向かう流れなんでしょうか。
高城:日本ではほとんど報道されませんが、昨年末にトランプ大統領が、ついに「改正農業法案」に署名しましたね。これにより、CBDなどの大麻製品は公共の場で広告が打てる商品になりました。日本でも2020年代初頭には、まず医療大麻から解禁になるんじゃないでしょうか。国内のあらゆる方面からの話を聞く限り、恐らく医療用大麻に関しては2020年代の初頭には、完全に解禁されそうです。
ただ、僕も含めて多くの人が今問題だと思っていることひとつあります。それは大麻から薬効成分の高い良質な成分を抽出したCBD、これは日本にも入ってきていて合法なんですが、この品質があまりにバラツキがあるんです。なかには「飛ぶ」成分、つまりTHCが合法量を超えているものも日本に入ってるんですが、どれが合法製品なのかわかりません。だから、一時的にすべてのCBDが違法化する可能性があります。現在、使用している方々は注意が必要です。
今後は、CBDも医療化して、今のように誰でも買える状況じゃなくなる可能性があります。アメリカも州によってはそうなるでしょうし、オーストラリアも今後そうなる可能性が高いので、これは致し方ないのかもしれません。カナダや米国で続々と「大麻スタートアップ」が誕生しているのにも、注目です。なにしろ、驚くほどに儲かるブルーオーシャンですから。
また、日本で今後医療大麻が合法化した際に、いったいそれをどこで作るのかという問題もあります。薬用成分の高い大麻の栽培免許は各都道府県知事によって発行されますが、戦後一度も発行されたことがありません。
そこで現実的な案として考えられるのが、いわゆるアーバンファーミング。農地で作るんじゃなくて、セキュリティ完備した都市のビルの中で水耕栽培を行う形です。これなら24時間稼働ができて、十毛作なども可能です。今後大麻が巨大産業となることを想定すれば、この形が一番ふさわしいと思います。
そこで僕が思う第一候補が、東京です。輸送に便利な羽田周辺なら土地が空いてますし、地価も比較的安価。それにアーバンファーミングなら、埋め立て地でも全く問題ない。場合によっては輸出も可能です。いま、中国の黒竜江省がアジアにおける大麻の一大栽培地なんですが、そこと対抗するためにも、羽田はまさにうってつけの場所なんじゃないかと考えています。万全のセキュリティ体制のもと、お金のかかった「日本製大麻」を東京で作ることが、粗悪で違法な大麻の流通に歯止めをかけることにも繋がるでしょう。
そうなると気になるのが、2020年の夏に行われる予定の東京都知事選。その都知事が誰になるかで、今後の方向性が決まるでしょうね。その人が大麻栽培免許を出すことになるでしょうから。
また、僕が考える第二候補は、大阪の夢洲です。2025年の万博が終わった跡地に、巨大な都市型大麻ファクトリーを作るんです。カジノと大麻ファクトリーを併設させれば、セキュリティ面でも効率がいい。さらに、その隣には、石油由来の薬は一切使わない医療大麻専用のクリニックを作る。そうすれば医療観光で、医療大麻が合法化されてないアジア諸国から大阪に人がやってくる。僕はメールマガジンの読者に、いつも7年後を視野に入れるように示唆していますが、そう考えると、いま仕込むのは2026年ということになります。つまり、万博後の世界の準備です。
──医療用大麻が解禁となれば、次は娯楽用が……という流れになると思いますが、そちらのほうはどうでしょうか?
高城:日本でも製薬会社やJTなどのロビー活動によって、2030年代には嗜好用大麻も解禁の流れになるんじゃないでしょうか。その間にもカナダをはじめアメリカ、オーストラリアでも解禁が進むと思われますから、日本も遅ればせながらも解禁せざるを得ないでしょう。そもそも、いままで準拠していたWHOが大麻に対しての見解を変えたので、国としても大麻を取り締まる理由がなくなっています。
世界中で解禁が進めば、今ある大麻へのアレルギーも払拭されていくでしょう。大麻産業は日本でも爆発的に伸びて、巨大なものになっていくでしょう。僕の興味は、その製品が米国からの輸入になるのか、メイドインジャパンになるか。ここにあります。すでに大麻が全面的に解禁されているカナダでは、大麻市場がものすごい勢いで伸びていて、一方、ビールが売れなくなりました。もはや、アルコールのほうが、よっぽど人間に害を及ぼすということが、民衆の間でも認知されてきましたが、陶酔成分のTHCは含有量を、政府がコントロールしたほうが良いと個人的に考えています。アルコール同様に。
ただ、娯楽用大麻の解禁にあたっては、違法マーケットの寡占化を防がないといけません。当然国としても違法マーケットを潰し、専売にして税金を取ったほうがいいと考えるはずですが、そこでカギとなるのが、その税金を何に使うかという問題です。
カリフォルニアで大麻が全面解禁された際、一回目の住民投票では否決されました。しかし、2回目の住民投票で通ったのは、その税金を教育産業に還元するという提案があったからなんです。日本でも娯楽大麻を合法化しようとする時に、そのお金を教育産業に戻すということになれば、住民投票で決めるという形じゃないとしても、大麻解禁を推進する政治家に対して投票する人は増えるでしょう。つまり、大義名分は必要となり、その準備も必要なのです。