小銭を盗まず、裸も見ない。モースが驚いた日本人の類稀なる美徳

 

E.モースが驚いた、明治時代の日本人男性の行動とは

ある時、モースとアメリカから日本に来た女性の医師とが、明治の初めの東京を二人で一人乗りの人力車に乗って目的地に向かっていました。当時の東京は現在と全く違い、日本橋からちょっと離れると、もちろん道は舗装されていませんし、自動車がない時代ですから、細い道の両側にはわずかに雑草の生えた側道がある、そんな街道でした。

そんな場所を人力車で走っていると、モースの左側の道端で若い女性が盥(たらい)で湯あみ(お風呂)に入っているではありませんか!しかも、もちろんなにも身には着けていません。それに驚いたモースは、その女医に向かって「ちょっと、ちょっと、あれを見てよ。女性が…」と話しかけたのです。二人が驚いたのは想像に難くありません。

ところがその後、モースたちはさらに驚き、感心したことが起こったのです。自分たちは道端で湯あみする若い女性に驚いてそちらを見たのですが、自分たちの人力車を引いていた車夫は二人ともまったく女性の方を見なかったということに気が付いたのです。その女性の方もちょっと体をひねっただけで、声を上げたり、隠したりはしなかった。

モースは後にこの時の経験を「最初は日本人の若い女性が裸で、こともあろうに道端で体を洗っているのを見て、「野蛮だな」と思ったが、よくよく考えていると、アメリカでは女性が海水浴で肌が見えるような水着を着て男性に見せようとしている。それに比べると、我々だけが気が付いた。もしかすると、野蛮なのは日本人ではなく、我々じゃなかったのか?」と書いています。

四方を海で囲まれていた日本人は、きわめて高い道徳性を持ち、それは外国の人が理解できないレベルだったのです。最初に書いた部屋の机の上に置いた小銭がなくならない…そこにはお腹を減らした子供や、貧乏な召使が出入りするのに、小銭はいつもそのままになっている!!そんな国は世界で日本しかなかったのです。

image by: John Leung, shutterstock.com

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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