どん底モスバーガーと復活マクドナルド、何が明暗を分けたのか?

 

復活のためにモスバーガーが取り組むべきこと

モスバーガーで客離れが起きるようになったのは、業界の中で高価格から中価格に移行してしまったことが大きい。かつては「低価格のマクドナルド高価格のモスバーガー」という構図で見られていた。しかし近年は「シェイクシャック」など高級グルメバーガー店が台頭したほか、チェーン店でも高額のハンバーガーを販売する店が増えており、次第にモスバーガーは高級ハンバーガー店とは見られなくなっていった

このようにして「中価格のモスバーガー」と見られるようになり、これにより中途半端感が出てしまい次第に埋没するようになっていったと考えられる。

近年は市場環境の変化から中価格市場は埋没している。低価格市場と高価格市場の存在感が高まっているためだ。低価格市場は多くのチェーン店がしのぎを削る激戦区だが、いつの時代も一定のボリュームがある市場で、低価格商品は安定した需要がある。一方、高価格市場は景気に左右されやすい側面があるが、近年は株高などで富裕層の消費が拡大しており、高価格商品の需要が高まっている。「安ければ安いほど良い」と考える人が根強く存在する一方、「高くても品質が良ければ買うと考える人が増えているのだ。

このようにして存在感が高まっている高価格市場と低価格市場に挟まれるかたちで中価格市場は埋没していったと考えられる。中価格のブランドと見られるようになったモスバーガーも同様に埋没していったのではないか。

中価格市場は埋没しているが、もちろん、やり方次第ではその中でも存在感を発揮することは可能だ。また、食中毒事故で傷ついたブランドイメージを回復させることも、もちろん可能だ。マクドナルドが実施してきたように、まずはQSCを徹底的に改善し、食中毒事故で傷ついたブランドイメージを回復させる必要がある。そして、顧客が望む商品を開発する必要があるだろう。さらに、埋没から脱却し存在感を発揮するために、顧客が面白いと思える斬新な施策を打ち出すことも必要だろう。「顧客本位の経営ができるかが問われそうだ。

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東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。

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【著者】 佐藤昌司 【発行周期】 ほぼ日刊

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