ジャパネットたかたの「社長自らが登場する通販番組」に代表される、個人を全面に打ち出すという販促方法。今回の無料メルマガ『販促アイデアと経営活性化』では著者で販促専門家として活躍中の前沢しんじさんが、自身も行なった「個人売り込みチラシ」を例に挙げ、その販促方法がなぜ効果的なのかを解説しています。
個人を売り込めば!
● 今回の成功チラシ
牧場長という「個人」を前面に打ち出しています。彼は当時の社長の息子で、現在4代目社長でもあります。オヤジさんに似て人間味あふれる好漢で、従業員の人気が高くカリスマ性があります。実は筆者も彼のファンで、小さい頃から知っていますが、少年がそのまま大きくなったようなまっすぐな青年です。
チラシ本文にありますように社内会議での実際のやりとりを書いています。この営業会議は筆者が30年以上主宰しており、社長、専務、営業部長、直営店店長、牧場長、ミートセンター長、総務担当が出席して「いかに生産し、いかに売るか」について2時間議論、そして一番大事な「議決」を行います。
ただ単に報告するなら会議は必要ありません。何かをしっかり「決め」ないと意味がないのです。
この会議では年末を控えて「いかにお客様に喜んでもらうか」を議論し各店長から牧場長の彼に「強いリクエスト」が出たのです。その結果「牧場長決断の大放出市」が決まり、それを彼自身の写真とあいさつが入ったチラシにしました。
個人を売り込む「親しみ」は高度の販促術
お客さまにとって「親しみ」は購買のいちばんの動機づけになります。「あの店員さんがいい」とか「あそこの店長さんは愛想がいい」とか「あの人に頼めばちゃんとしてくれる」とか、同じ商品やサービスを買うなら気持ちよく買いたい。そこには「安さ」とは違った「安心感」「満足感」を得たいという気持ちが働きます。そういう意味で「個人」を売り込んでいくことは、長い商売のための「ファンづくり」に欠かせません。
著名なコンサルタントだった須田泰三さんが指導するチラシで「とうちゃん、おれ給料いらん」という有名なキャッチコピーがあります。
あるお店がお客様に感謝セールを行うとき、ただ単に安売りなどをするよりも(もちろんびっくりするほどの安売りをするのですが)、なぜこのセールをやるのか、その意気込みは何なのかをお客様に伝えるため、店主である「父ちゃん」に、店員である息子が「給料を返上するからその分をお客様に還元してくれ」と訴えるわけです。
その一連の動きをひと言で表現したのが、冒頭の「とうちゃん、おれ給料いらん」というチラシタイトルです。
この企画は当時大成功事例として雑誌などに取り上げられていました。その「個人を売る」という延長線上の販促術のひとつとして発展したのが「ニュースレター」という販促ツールです。
● モノよりヒト。販促の専門家が「ニュースレター」作成を薦める訳
これは、お店のファンづくりのために、定期的にお店からお客様個人宛てに手紙を出すというつながりツールです。
「個人を前面に出す」という販促法では、大手ではジャパネットたかたの高田社長(当時)がたいへん有名です。ここまでの成長はあの個人戦略なしにはあり得なかったでしょう。
「個人を売り込む」ことはお店が永続的に成長するためのファンづくりの技術として欠かせません。
結果
売上げ数値は手元に残っていませんが「悪くなかった」と記憶しています。何しろ毎年、毎月、毎週、色々な売り込み企画を実行する会社ですので、昨年を上回ろうと思うとあらゆる手立てが必要なのです。しかし、そういう大変さこそが、既存店ベースで毎年売上げを上乗せしていくことにつながります。
ビジネスは永遠につづけるもの。そのためには「工夫、工夫、さらに工夫、その上に工夫」の連続なのです。