ところで、この異世界に転生すること、つまり、生あるものが死後に生まれ変わって再び肉体を得ることを輪廻転生といって日本では仏教思想の1つとして知られていることは聞いたことあるという方も多いと思うが、どの宗教でも生まれ変わりを信じるわけではない。
日本では、例え仏教徒じゃなくても、また、本当に転生するかどうかを信じるか信じないかは別としても、概念としてそういう考え方があるということを認識している人は多いと思う。でも、仮に信心深いキリスト教徒の場合はこの考え方は理解できないのではないだろうか?
キリスト教が多い欧米では、例えば、堕天使のルシファーを主人公にしたドラマやマンガはあっても、異世界転生もののコンテンツはないに等しい。なぜなら、輪廻転生という概念がキリスト教にないから(もし、間違っているよ、という場合はご指摘ください)。
一言でキリスト教といっても宗派がいろいろあるので、一概には言えないが、世界に売れるコンテンツについて考えると、世界の宗教や文化を無視しては作り上げられないかもしれない。
日本でこれだけ異世界転生もののマンガが人気な理由は、漫画のストーリーの面白さや絵が好きなどの理由の他に、多くの日本人が無意識のうちに輪廻転生という概念を理解しているからだと思う。信じるか信じないかは別として、「そういう考え方もあるよね」と思う人が多いのだ。
でも、生まれ変わるという概念がない宗教の場合、現象としては捉えられるが、なんだかイマイチ良く分からない奇想天外な発想と感じるかもしれない。
上述で引用した調査レポートに出版社ごとの売れ筋ランキングも出ているが、日本でこれだけ人気がある異世界転生ものはぱっと見た感じでは入っていない。
もちろん、故スティーブ・ジョブズが、仏教を学んでいたとか、仏教が生まれたインド発祥のヨガがアメリカで広まっているという事例もあるので、異世界転生ものがまったく受け入れられないということはないかもしれない。 でも、もし海外で広く人気を得ようとした場合、宗教の考え方の違いを理解した上で、各種プロモーションや宣伝方法を考えるとより理解されやすいかもしれない。
このテーマについてはまだ研究中なのでまた機会があれば取り上げていこうと思う。
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