親中どころか媚中。米国も警戒する二階幹事長に握られた日本の命運

 

近年、二階氏は、アメリカにも名指しで警戒されるようになっています。

アメリカの有力シンクタンクである「戦略国際問題研究所(CSIS)」は、2020年7月末に、「日本における中国の影響力」という調査報告書を公表しました。この報告書は、トランプ政権が新設した国務省の「グローバル関与センター」の支援を得て作成されました。同センターは、中国の対外的な影響力工作や政治宣伝への対応を任務としているといいます(古森義久氏、「JBpress」2020年7月29日付)。

今井氏、二階氏、日本の対中融和勢力を米国が名指し

英語で53ページにもなる同報告書は、CSIS研究員やニューヨーク大学教授を歴任した国際政治学者のデビン・スチュワート氏が中心となり、日本、アメリカ、中国などの専門家約40人への面接調査や広範な情報、資料を基に、約2年をかけて作成されたそうです。

同報告書の内容は、私の新刊『親中派の崩壊』で詳しく解説していますが、そのなかで、二階氏についてCSISが分析している箇所がありますので、引用します。

親中派の崩壊

この報告書では、親中派の人物として、何人かの政治家の名前が挙げられている。とくに影響力のある人物として、自民党の二階幹事長を次のように説明している。

 

  • 自民党の二階幹事長は自分の故郷である和歌山県の動物園のために中国からパンダ5頭を連れてきたこともあり、2019年4月には、安倍首相の特使として習近平と会談し、アメリカの意見を無視して、日本は中国の「一帯一路」に協力すべきだと主張してきた
  • 二階幹事長は、習近平国家主席の国賓訪日や「一帯一路」への協力提唱に加えて、対中援助の提唱者でもある

 

報告書にここまではっきりと記述したということは、アメリカが二階氏の動きを明確に警戒しているというメッセージなのだろう。

 

二階氏は、2003年に郷里の和歌山県田辺市をはじめ日本全国に江沢民の石碑を建立しようとし、市民らの反対にあって頓挫した過去がある。日本では二階氏が親中派というよりも「媚中派」であることはよく知られている。

 

2020年6月末に中国が国家安全維持法を施行したことを受けて、7月6日、自民党の外交部会が習近平の国賓来日に反対する決議案をまとめたが、二階氏および二階派が「日中関係についての先人たちの苦労を水泡に帰すつもりか」と強く反発したため、「国賓来日の中止を要請する」という表現を「中止を要請せざるをえない」とかなり後退させることになったといわれている。

 

また、2020年1月、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐり、中国企業「500ドットコム」から賄賂を受け取ったとして、自民党の秋元司議員が逮捕されたが、CSISの報告書では、秋元議員を「自民党の親中派である強力な二階派に所属している」と紹介し、この贈収賄事件を以下のように説明している。

 

「秋元氏は中国の大手オンラインスポーツ賭博サービスプロバイダー『500ドットコム』から総額370万円(約3万3,000ドル)の賄賂を受け取った疑いで逮捕された。

 

同サイトは、中国政府が出資するチップメーカーの清華聯合集団を主要株主としている。

 

清華ホールディングスは清華聯合集団の株式を51%保有しており、習近平や胡錦濤を教育した清華大学の完全子会社である。胡氏の息子の胡海峰氏は同グループの党書記を務めていた。清華聯合集団は、2013年11月に500ドットコムが初の四半期損失を計上したあと、着実に株式を増やしてきた。

 

同社は損失が続くなか、500ドットコムは日本を含む中国国外で代替の収益源を探そうとしてきた。2017年7月に500ドットコムが日本法人を設立した1カ月後、同社は沖縄でカジノビジネスの機会について話し合うシンポジウムを開催した。

 

秋元氏は基調講演者として招かれ、講演料200万円の報酬を得ている。

 

このような中国絡みの贈収賄スキャンダルは日本ではほとんど報道されていないが、今後も両国の相互関係が深まっていけば、再び汚職事件が繰り返される可能性が高まってくるだろう」

このように、アメリカは二階氏の動きに対して、わざわざ名指しで警戒感を示しています。当然この報告書は、当時の安倍政権や自民党に対する警告の意味もあったでしょう。二階氏が菅氏を担いで総裁選びの主導権を握ろうとしているのも、アメリカから睨まれているという危機感から、権力の増強に走ったともいえるわけです。

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