化学的に合成されていることもあり、「体に悪い」と槍玉に挙げられがちな人工甘味料。果たしてそれは事実なのでしょうか。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で科学者のくられさんが、そんな疑問に対する明快な答えを記すとともに、自身が普段遣いしている「最強の甘味料」を紹介しています。
最強の甘味料を求めて
食品添加物において、甘味料は砂糖だけではなく、カロリーゼロの合成甘味料の類いまでいろいろあります。
甘味はうま味とは相性の良いもので、カレーや肉じゃがといった、砂糖とは無縁な印象を受ける料理に、ほんの1さじ加えることで、大変にありがたいうま味を醸し出してくれます。
これは人間が進化の課程で「甘いものは栄養価が高い」という認識を培ってきたからに他なりません。
しかし飽食のこの現代。砂糖が美味しいからと、ついつい摂りすぎてしまいます。
そこで登場したのが、カロリーゼロないしはカロリーオフの、「甘味料」と呼ばれるものです。代表的な甘味料と、その甘さの度合いは以下を参照してください。
甘味料の甘さの比較
※ グラニュー糖を1とする
エリスリトール:0.75倍
キシリトール:1倍(グラニュー糖と同じ甘さ)
チクロ:30倍(現在は使用禁止)※
アスパルテーム:180倍
アセスルファムK:200倍
サッカリン:300倍
スクラロース:600倍
※ 近年毒性の再評価の結果、発ガン性などの危険性について問題ないという評価になっている。
『本当にコワい? 食べものの正体』より
まず、キシリトールやエリスリトールというものは、~トールというようにアルコールの親戚のような構造をしたものです。
これらは糖アルコールといわれ、砂糖よりカロリーが低い、カロリーがない(消化できない)ものから、砂糖とは似ても似つかない化学構造を持ったものまで様々です。
アスパルテームやサッカリン、アセスルファムKなどと横文字を並べられ、そして、亀の子状の構造式を見せつけられると、さも毒であるかのような印象を受けてしまいますが、厳しいテストに合格した上で、ADIという無害量で扱われているので安全性は気にするまでもありません。
むしろ砂糖の摂りすぎを防いでくれるため、ソフトドリンクなどをよく飲む人には、多大なる貢献をしているとも言えるでしょう。
人工甘味料は、食品添加物として認可されているものから、使用禁止のもの、そして新しいものと、大変に移り変わりの激しい添加物です。
まったく砂糖とはかけ離れた分子構造でも人間の味覚細胞が甘いと認識するキーとなる構造を持っています。しかし困ったことに、人工甘味料だけで砂糖とまったく同じ甘味を作ることは極めて困難です。
故に糖アルコールや、若干の液糖と美味く組み合わせることで、砂糖の摂取量を減らせるように工夫されている商品もありますが、「低カロリー」を謳っていても、しっかりとカロリーの高い飲料もあるので、食品ラベルをよく見ることをオススメします。
また人工甘味料ではなく、アミノ酸である「グリシン」も甘味料として使えます。
こちらはアミノ酸なので、肉類と極めて相性の良い甘みで、煮込み料理や刺身醤油などに少しだけ添加するとか、ステーキソースにいれるなどといった肉系の甘みブーストにグリシンはめちゃめちゃ便利です。
わが家では砂糖の横にグリシンが普通の調味料として鎮座ましましていますので、その使用頻度はなかなか高いと言えます。
グリシンは1kg入りで1,000円程度なのでコスパも最高です。
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