台風から命を守れ。マンション上階に住むあなたにお願いしたいこと

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年々大型化の様相を呈し、各地に甚大な被害をもたらす台風。命を守るためには迅速な避難が肝要ですが、新型コロナウイルスの流行がその判断を鈍らせる要因となってしまっています。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、「マンションは自然災害に強い」という事実をあらためて紹介した上で、安全性が高いマンション上階の住人に対する提言を記しています。

コロナ禍での台風襲来、避難はどうする…

こんにちは!廣田信子です。

9月1日は防災の日、例年なら防災訓練がいたるところで行われるはずですが、今年はコロナ禍で中止になっています。防災がテーマのセミナーもずっと中止となっています。昨年、一昨年と、台風による水害、風害被害が大きく、今年は地震対策に加えて、水害、風害対策も強く求められるようになりましたが、コロナ禍により、それどころじゃなく、各マンションの備えが進んでいないのが現状だと思います。

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そんな中、小笠原近海で台風10号が発生。今後、海面水温の高い海域を発達しながら北西へと進み、6日、日曜日には非常に強い勢力を維持した状態で西日本にかなり接近する恐れがある。非常に強い勢力で、近畿地方に甚大な被害をもたらした2年前の2018年9月の台風21号に匹敵し、上陸すると同等の被害が想定される…と。関西国際空港の滑走路や駐機場が浸水、また、大型船が橋脚にぶつかった様子、車がいとも簡単に横転している映像がはっきり目に浮かびます。

マンションでも、自転車置き場の屋根が飛ぶ、飛来物で窓ガラスが割れる等多大な被害が出ました。浸水、停電の被害もありました。また、昨年の台風による河川氾濫、内水氾濫の恐ろしさも、記憶に新しいところです。避難の遅れが、たくさんの人の命を奪いました。

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ところが…今は、コロナ禍で、避難所への受け入れ人数も絞っています。ようやく、避難所に避難するように…というだけでなく、安全な建物であれば自宅に留まる、ホテル等への避難、親戚・友人宅への避難も積極的に考えるように…と言われるようになりました。

新型コロナウイルス感染拡大前であれば、

  • マンションは安全なので、基本、自宅に留まる
  • ハザードマップで浸水の恐れがある地域では、1階の住民がマンション内の上階に避難できるようにする(2階以上に集会室等があればそれを避難所に、なければ、誰かの専有部分で受け入れられように準備する)
  • ハザードマップで浸水の恐れがある地域では戸建て住宅に暮らす地域の人たちにも声を掛けて、危険が去るまで避難できるように協力する
  • 自宅には、水、食料、簡易トイレ、懐中電灯、ラジオ、充電器、電池等を準備する

と、話したところです。しかし、コロナ禍で状況は変わり、通常のサークル活動で集会室を使用するのも制限され、できるだけ人との接触機会を減らすように…と言われ、生活環境を共にする家族内感染が増えている中で、集会室等を地域の方にも開放したり、自宅に知り合いを避難させる…ということが、できにくくなっています。

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マンションは、やはり自然災害に強い住まいです。脅威が迫ってきたときは、コロナ感染の心配より、災害から命を守ることを最優先して行動してもらいたいです。

高齢者や小さな子供がいる家族は、コロナ禍の中で避難所行きに躊躇しても、今は、親しい間柄でも、一晩、お宅に避難させて…とは言いにくいと思います。ホテル等を積極的に活用して、早めに避難することも有効です。それも間に合わずに、危険が迫っている場合は、ぜひ、安全なマンションの上階に暮らしている人の方から、「うちに避難して!」と1階や戸建ての人に声を掛けてあげることが行動をうながすことになります。

コロナ感染不安が避難する側、受け入れる側両方の行動をためらわせて、犠牲者が出るようなことだけは避けたいです。

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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