4. ポンができる経営者
ビジネスもガラガラ状態です。しかし、それほどジタバタしているように見えません。
たとえば、コロナの自粛中、あるいは自粛後に百貨店やアパレルは何か新しいことを始めたでしょうか。
現在行っているのは、不採算ブランドを整理し、不採算店を閉めているだけです。アパレルが退店した後、どんな商品で売り場を埋めるのでしょうか。
私は現在の百貨店の取引条件では、新たな取引先を見つけるのは難しいと思います。
百貨店の取引形態は、派遣店員と委託仕入れです。販売員は取引先が用意し、売れ残った商品は返品されます。年間売り場を維持することはとても大変です。
催事のような短期的な仮設売り場であれば、出展したいという人はいると思います。しかし、その企画を立て、出展者を集めることはできるのでしょうか。百貨店は何でも丸投げです。催事も催事業者に丸投げします。何もしないで、場所だけ貸して、かなりの利益を取ります。
百貨店の取引形態が問題であることは、30年以上前から分かっていたことです。インターネット通販に押されていることも10年以上前から分かっていたでしょう。それでも、何も新しいことに取り組まなかったのです。
そして、コロナ禍で一気に勝負がついたのです。多分、このまま何もしないで、淘汰されていくと思います。時間の問題です。
ガラガラポンということは、ガラガラしている中で、多くの企業やビジネスが淘汰されるということです。
ビジネスだけでなく、生活圏も変化します。テレワークが一般化した結果、本社も都心から地方へと移転が進みます。都心のオフィスは縮小します。そうなると、住居の立地も変わります。地方で家庭菜園ができるような庭がある住宅が望まれます。
人口は集中から分散へと転換します。そうなると、公共交通機関も変わります。物流も変わります。商業施設も変わります。
もちろん、欲しい商品も売れる商品も変わります。
時間の使い方も変わります。生活スタイルが変わります。ファッションも変わります。
その変化を予測して準備するのが、ポンができる経営者です。
編集後記「締めの都々逸」
「何でもかんでも ガラガラ揺すり ポンとまとめて 何が出る」
昔「日本はガラガラポンしないとダメだ」と言っていた政治家がいました。今、ガラガラポンになりました。さて、どうすればいいのでしょうか。
自分が思う通りに都合よくガラガラポンは起きないのですね。誰もどうなるか分からない。でも、元には戻らない。そんな状況です。
でも、とてつもないチャンスでもあります。なにかが見えそうな気もしてきました。今後も考え続けたいと思います。(坂口昌章)