村上龍も絶句。HIS会長が語った危機的状況に対するマネジメント

 

少しずれるのですが、ここで「ピンチをチャンス」にするための健全であるべき前提条件について考えます。それは「利益」についてで、その意味合いも含め考えてみます。

リーマン・ショックのときの「トヨタ」の状況を振り返ります。もちろんトヨタも旅行業のHISよりマシかもしれませんが、今回のコロナ渦では危機にあるのは確かなことなのですが。そのリーマン・ショック時の落ち込みと現在の状況を類推して、そこでの起こったことの意味を確認したいと思うのです。

リーマン・ショックはトヨタ自身に起因するものでもなく、日本経済での混乱でもなく、大口消費地であるアメリカが発生源でした。この時(2008年度)の売上高は、前年度比22.%減20兆5,000億円と大幅減、営業損益は4,610億円の赤字、純損失は4,370億円と、前期の最高益から一転して過去最悪の赤字決算に陥ったのです。

2009年度にトヨタは黒字転換は果たすものの、営業利益率は0.8%にとどまり、売上18兆9,000億円、営業利益1,475億円でした。財務上は厳しい状況にあったなかで、ときの会長であった張さんはこんなことを。「しかしここで改善を積み重ねておくと、次の好況時に一気に成果が現れて、利益が出る」のだと述べていたのです。

「次の好況時には」と言えたのは、蓄えという仕込みあったからで。決算書を見ると、現金2兆4,000億円、利益剰余金11兆5,000億円であり、これに対して給料も含めた販売費・一般管理費は2兆5,000億円で、売上総利益1兆7,000億円、また金融利益3,694億円計上されており、一過性の危機を乗り越えれば「次の好況時に成果」が現れるのです。

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