Amazon圧勝。クラウドゲームLunaにGoogleが敵わないこれだけの訳

 

それと比べると、Amazonが発表したLunaはいくつかの点で優れています。

まず第一に、サーバー側ではWindowsマシンを動かしている点です(Amazon EC2 G4 Instance)。これにより、Windows向けのゲームを提供しているメーカーは、(Stadia向けと比べて)はるかに容易に、Luna向けのゲームを提供出来ます。

もう一つ優れているのが、ビジネスモデルです。Amazonによると、ゲーム・パブリッシャーは、Lunaの中に独自の「チャンネル」を持つことが出来、それを月額課金で提供できるのです。大手のパブリッシャーであるUbisoftは、今回の発表でLunaで独自のチャンネルを提供することをアナウンスしました。

今回の発表では、Amazonとゲームパブリッシャーの間のビジネスモデルは公開されませんでしたが、パブリッシャーのゲームが月額課金で提供される限り、それを使ってゲーム・サーバーの運営コストをカバーすることは十分に可能なので、良いゲーム体験さえ提供できれば、ユーザー、パブリッシャー、Amazonの三者にとってwin-winの関係を作り出すことは十分に可能です。

Ubisoftは、既にUplay+というサービスを月額$14.99でWindowsパソコン向けに提供していますが、最新のゲームが遊べるようなパソコンを持っている人はごく一部で、そのビジネスが成功するとは私には思えません。

しかし、Amazon Lunaが(専用のゲームコントローラーを繋ぐだけで)Amazon FireTVで遊べるようになり、そこでUbisoftが$14.99で最新のゲームを含めた100種類のゲームが遊べるチャンネルを提供するとなったら、話は大きく違います。ゲーム・パブリッシャーにとっては、月額課金による安定したビジネスは、長年の夢でしたが、それが一気に実現してしまう可能性すらあるのです。

これだけ見ても、Amazon Lunaの方が、Google Stadiaよりも、はるかに良い設計に思えますが、Amazonの所有するTwitchとの相性もとても良いので、そこにも期待できます。

私には、今の形のGoogle Stadioが、ソニーやMicrosoftのゲームビジネスにとって本格的な脅威になるとは全く思えませんが、Amazon Lunaには十分なポテンシャルがあると思います。

ちなみに、この発表を見て、私はStadia Pro Serviceのサブスクリプションを取り消し(もっと早く取り消すべきでした)、Amazon Lunaのアーリー・アクセスに申し込みました。どう見ても、こちらの方が「筋が良い」からです。

image by: Amazonプレスリリースサイト(英語)

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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