1on1をスムーズに進めるために用意すべきは「上司からの質問」
1on1を行うにあたり、部下には一切準備をさせません。部下に「1on1は面倒」だと思われないようにするためです。
もっとも、上司はある程度質問を用意する必要があります。
即興で質問すると気分で質問を変えてしまい、大事な情報を得られなくなる可能性が高いからです。
最初は全員に、極力同じ質問を用意しましょう。同じ質問に部下がどう返答するかで、部下によって考え方や捉え方が異なることを知ることができます。
感覚的には6割共通、4割は前回の1on1を踏まえた部下個人への質問と考えるとよいでしょう。
質問は2つにグループ分けできます。
グループ1:人間関係など、部下の悩みを解決するための質問(例・仕事をしていて壁を感じることある? 困っていることある? ~さんとはうまくやれてる?など)
グループ2:部下の目標をリマインドする質問(例・今期のあなたの目標はなんだっけ?どれくらい進んでいる?など)。ただし、返答に対する評価はせず、困り事を聴くのみにします。順調にいっているのか、いっていないのかを知るのが目的です。
1on1は直属の部下と1週間または2週間に1回、30分の頻度で行う
現在の私の1on1の対象人数は15人です。1人30分、2週間に1回1on1の時間を取っています。
例えば部署に40人の部下がいた場合、全員に1on1を行うのは不可能に近いです。
まず、直属の部下とのコミュニケーションを大事にしましょう。また、次世代のリーダー候補とも定期的に1on1を行うことが大切です。
だいたい、10人を目標にするとよいでしょう。
今、私が1on1を行っているのは15人ですが、正直少し多いと思っています。もっとも、今はコロナ禍で先行き不透明な中、部下がストレスを感じていないか把握したいというのもあり、15名としています。なお、1on1はオンラインでもできます。
部下が女性の場合はとにかく傾聴、男性の場合は解決策を提示する
では、部下が女性か、男性かで対応を変える必要はあるでしょうか。
基本的には、質問を変える必要はありません。男性でも女性でも、同じ質問をします。
もっとも私の経験上、部下が女性の場合は解決策の提示よりも、ひたすら話を聴くほうがよい結果をもたらすことが多かったです。
また、部下が女性の場合、こちらからの1つの質問に対して、3つくらい答えが返ってくることもあります。また、今後どういう風にしていきたい?などと漠然とした質問をすると、返答が非常に長くなることもあります。
部下が女性の場合は、「どこから手をつけようか?」「何を優先事項にしようか?」などと、目的をはっきりさせた質問をしたほうがよいでしょう。
部下が男性の場合は、質問で問題点を深掘りし、解決策を示していったほうがよい結果をもたらすことが多いです。
その場合も、解決策をいきなり示すのではなく、部下から解決策を引き出すようにもっていくといいでしょう。
例えば、
「コロナ禍で大変だけれども、何かやりにくいことはある?」
という質問に対し、部下から
「社内会議はうまく回っていますが、お客様のところへ商談に行く前の打ち合わせがあまり頻繁にできなくなってきています」
という返答があったとします。
その場合は
「商談に行く前の打ち合わせには、どんな人が参加しているのかな?」
と聞いてみましょう。
「先方に伺う私と、Aさん、Bさんです。本当は経理のCさんとも打ち合わせをして予算感を把握しておきたいのですが、なかなか僕からは言いにくくて……」
という返答があったら、
「じゃあ、解決策を一緒に考えていこう」
というキーフレーズを出します。
ここでの鍵は、
「どうやったらCさんに言いやすくなるかな?」
と、あくまで部下に考えさせ、部下から解決策を引き出すことです。
「それなら、金田さんからCさんに、商談前には打ち合わせして予算感を提示するように言ってみていただけませんか? 僕からも、なるべくCさんに予算感を打ち合わせたい旨メールするようにします」
などと具体策が出てきたら、
「じゃあそうしよう。ぼくからもCさんに言っておくから、次回の1on1のときに状況の変化があるかを確認しよう」
と、次回までの「宿題」を提示します。
1on1をうまく行えば、部署の雰囲気が良くなることはもちろん、現場の問題点や変化を早期に把握したり、戦略や目標の達成を効率的に行ったりすることができます。30分という限られた時間を有効に使いましょう。
今回の実践ポイント
- 1on1は1~2週間に1回30分を定期的に行う
- 1on1は事前に共通の質問を必ず用意しておく
- 1on1は9割傾聴して相手から話題を引き出す
- 1on1は雑談で部下のことを知る
- 1on1は必ずメモを取りながら行う
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